今週のお題「雨の日の楽しみ方」
嵐が近くまで来ている。
小さな頃、俺は山奥の寒村で育った。
山肌に立つ小さな家からは
白い岩が美しい河原が見えた。
すぐに増水するその川が好きだった。
そいう土地では雨が降ると
川の水量はあっという間に何倍にもなる。
山を伝う雨が谷のそこに集まり、
急激に水かさを増やす。
普段は安心して遊ぶことのできる、
その河原は土色の水に浸かり、
周囲を完全に飲み込んでしまう。
あらゆるものが流されて、
あらゆるものが流されてくる。
その止めどない水。
それを小さな俺は大好きだった。
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