スーツの襟の形。
これをラペルといいます。
時代の流行り廃りで、違いの大きいところですね。
さて、初オーダースーツの友人X氏。
ラペルでまた小一時間だそうです。
ちなみに、彼の体験は結構特殊だと思います。
オーダースーツは、もっとシステム化され
こういうタイプのテーラーは
あまり出会わないはずですよ。
じゃあ、襟の形の小一時間を
聞いてみましょう。
食事の後、X氏の馴染みのバーへ。
8 「なかなか良いお店ねー」
X 「ギムレットには早すぎる、ッテ感じのねw」
8 「いやー、オーダースーツの愚痴言う場所とはとても思えない!」
X 「俺には強い武器がある」
8 「ほう、それは?」
X 「開き直り力であるな」
8 「ゲラゲラww」
X 「で、ラペルに行くわけね」
8 「シングルかダブルか。とかそこは?」
X 「君ねえ、僕はもう、ボンド、ジェームス・ボンドw」
8 「ああ、そうねえw From Russia with love だったよねw」
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X 「当たり前です。グレーのシングルにしたんです」
8 「というより、そこへ逃げたんでしょう?」
X 「必然的な偶然というやつだな」
8 「専門的にはコンステレーションと言うのだよ。まあ、言い訳だがw」
X 「な、なにをw!」
8 「ところでラペルだ」
X 「うむ、そうであったね」
8 「ってことは、ノッチドラペル?」
X 「当然であろうよ、君。俺は逃げておるのだよ全力で」
8 「テーラーは許してくれたの?」
X 「それが、全力で説明してくれるのよ。。」
8 「まあ、そりゃそうでしょうなあ」
X 「やたらと襟を広げたがるお客様、細くしたがるお客様、いろいろいらっしゃるとか、いろいろね」
8 「カタログを見せながら?」
X 「そう、そこで聞かれたのが、サイドベンツかセンターベントか」
8 「襟とどう絡むの?」
X 「って思うでしょ?」
ここで補足しておくが、センターベントってのは
ジャケットのお尻が真ん中で割れているわけです。
サイドベンツは、横で割れておるのです。
こういうのですね。
8 「ボンドなら、イギリスだからサイド一択でしょう?」
X 「俺もそう思ったんだけど、あれってトイレ不便でしょ?」
8 「????」
X 「ほら、大するとき、なんとなく気にならない?」
8 「ああ、確かにwww」
X 「それでさ、それも相談したわけ」
8 「うんちのネタをテーラーにw?」
X 「ほら、俺もう金玉袋の話しされてるからさ。ウンチも平気よ」
8 「ゲラゲラヒーヒーww」
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8 「テーラーさんはなんて?」
X 「殺し文句を言いやがった」
8 「?」
X「せっかくのオーダーですので、いかようにもお好きな方を」
8 「確かに!そりゃそうだ」
X 「もうね、俺は考えたくなくなってたのね。それで言ってしまったのね」
8 「おお、ついに怒ったのか?」
X 「いや、『普通でお願いします』って」
8 「お前、サイテーだなwっw」
X 「でもさすが、職人だよね。『普通はございません』って」
8 「wwwwwwwwwwwwww」
X 「はいはい、サイドベンツでいいです!って言ってやった!」
8 「全然『言ってやった』ぽくないw!」
X 「わかってるって!ww」
8 「で、ラペルとどう絡むの?」
X 「そこさ!サイドベンツの場合、ゴージラインをあまり上げないほうが良いです、とか教えてもらった。それにピークドラペルもオススメしないって」
8 「へえ、そんなの関係あるんだね。言われてみればそうか。ピークドなら、ノーベントの方がいいかもね」
X 「で、ここから修羅が始まるのね」
8 「えっ、ここはまだなの?」
X 「ゴージラインは、ネクタイの結び目より何ミリ上げますか?とか聞かれた」
8 「しらねえよーそんなこたあ!」
X 「でしょう?知らないよね?考えたことないよね?」
8 「ないないwww」
X 「そこでまた不毛なやり取り。『普通でお願いします!』」
8 「もう、これは最終兵器だな」
X 「このあたりになってくると、もう自信たっぷりになってくる不思議」
8 「普通でお願いするのなら、吊るしで良いんじゃあ?」
X 「ノンノン!」
8 「なにがノンノンですか?」
X 「これは、これも含めて楽しむべきことなのです」
8 「じゃあ、なんで俺に愚痴ってんだよw?」
X 「辛いからに決まっているでしょう!」
襟はノッチド。
シングル。
サイドベンツ。
ここまでは決まったようです。
まだまだ道は遠く険しいのです。
(日暮れて道遠し。道楽とはこういう世界かもしれぬ。で、クリック!)
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