これは、フランス人から聞いたのではなくて、
フランスに嫁いだ、ボクの仕事の先生だった日本女性から聞いた話。
まだ彼女が日本にいて、フランス人と、超遠距離恋愛だった頃、
「パリですごく印象的だったことがあるの」
と、仕事が終わった、夜も遅い時間。
今、彼女が住んでいるのはパリではありません。
もっと北のル・アーブという町に住んでいるはずです。
彼女の名前はマダム・アルコ。
日本名は、晴子さんと言う人。HarukoのHは発音しないので、アルコ。
少なくとも、旦那さんのアランさんは、そう呼んでいました。
今も、お元気であれば、夏の日には浴衣を着て、ノルマンディーの海岸を散歩しているはずです。
そのマダム・アルコが、パリのデパートで買い物をしていた時のこと。
5〜6歳くらいの女の子とお母さんが、子ども用のドレスを選んでいました。
「ねえ、シャーロット、このドレスはピンクとブルーとどちらがいいと思う?」
「ママン、私は女の子だから、ピンクがいいわ」
「なんですって!あなたは今なんと言ったの?」
「ピンクがいい。。」
「そこじゃなくて、その前!」
「女の子だから」
アルコさんは、まあそりゃそうだよね。お母さんは変わった人かしら?とか思っていたそうです。
「女の子だからピンクなんていうのは、バカがいう事です」
「じゃあ、ブルー」
「そうやって、ブルーを選ぶのも、バカがする事です」
もう、女の子は混乱して、いまにも泣きそうです。
「これはあなたにとって大切なドレスなの。あなたの瞳の色や、髪の毛の色、いろんな事を考えて、選ばなくちゃならないの」
「ママンはどっちがいいと思ってるの?」
「質問に質問で返すのは、ママンに対して失礼ですよ!」
これはすごい事になった、とアルコさんは思ったようです。
日本であれば、自然とピンクで納得する場面です。
しかし、このママンは容赦ありません。
「好きなものを着ていいなんてのは、全くの嘘です。どう見られたいか、どう見られるか、それを考えないと人間はバカになりますよ」
「私の瞳はブルーだけど、髪は今はブロンドだわ、ママン」
「そうそう、続けて」
「でもおばあちゃんが、髪の色は変わるよって言ってた。ママンも昔はブロンドだったって」
「うん、そうよ」
「私は、ブロンドであるうちに、似合う色がいいわ」
「なるほど」
「瞳とバランスのいいブルーにするわ」
「じゃあ、あなたは、今選んだのね?」
「そうよ、ママン」
「ママンが、最初にピンクを拒否したからじゃなくて?」
「ダメよママン」
「なにが?」
「それはバカがする事なんでしょ?」
「よろしい、じゃあ、ピンクを買いましょう」
「えっ、ブルーじゃないの、ママン?」
「あなたが欲しいものを買うに決まってるじゃないの、可愛いシャーロット!」
「ママン、大好き!」
この強烈なママンは、何をしたかったのでしょう?
「考える事」を教えていたのでしょうか。
それとも、圧倒的な支配欲なのでしょうか?
どうやら、フランス特有の感覚があるようです。
アルコさんは、現地で出産します。
その育児の中での出来事は、この話と絡むと見えてくるのです。
(その2につづく)
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