愛しのシャーロットその1はこちら
マダム・アルコ、晴子さんは静岡県の出身でした。
背の高い女性で、きれいな指をしていました。
なぜフランスに嫁いだのか、詳しい事は聞いていません。
旦那さんはアランさんといい、タクシーの運転手さんでした。
海岸近くの林の中に、小さな家を構えた二人は、女の子を授かります。
その娘さんはサヴィーヌといいました。
もう、オトナの女性になっているはずです。
そのサヴィーヌが生まれてすぐの頃のお話です。
異国での出産、初めての子育て、もうアルコさんはボロボロです。
アランさんは、お昼ご飯を毎日食べに帰ってくるのです。
その日も、お昼にアランさんは帰宅しました。
「アルコ、そのスカートと靴下の色のバランスおかしいよ」
アルコさんは、その瞬間に怒りが爆発し、スープの鍋ごとアランさんに投げつけます。
「アルコ、何を怒っているんだ?ぼくはただ、そのスカートと靴下の色が。。」
アルコさんは、いろんな事に腹が立っていました。
アランさんは、カッコいい男性ではありません。優しい感じの、緩やかな人です。
あまり、ぱっと見がいいわけではないのです。
「あなたにそんなことを言われる私じゃなかった!靴下の事を気づかなかった私は、私じゃない!あんたや、サヴィーヌや、フランスが私を壊したのよ!!!」
「いや、ただの色の話じゃないか?」
「もういい!」
当時、国際の速達で届いた手紙で、その顛末を読んだ私は、笑いすぎてひっくりかえりそうになりました。
ここで、シャーロットとアランさんが、私の中で結びつきました。
彼らの、選択する一つの基準としての「色」への感覚。
なんとなくフランスという国が生む、色彩の意味の背景を、
少し理解できるようになった気がしました。
それ以来、フランスの本を読む時には、その風景の色に思いを馳せます。
そして、「色」を考えるとき、シャーロットとサヴィーヌのその後を想像します。
不思議と楽しい時間です。
みなさんもいかがですか?
色を考えてみるって、大事ですよ。
まあ、それにしても、そこでいったら怒りますよ。
アランさんも憎めない人ではありましたけれどねえ。。
できれば、あちこちクリックしていただけると助かります。。