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トライアンフ・トライデントの魔法 究極のオートバイを目指してみる2

大人になるとは、いかに自分がわかってなかったかを知ることであるな。

 

今週のお題「おとなになったら」

 

若さとは、もっと言えば幼さとは、

無知による暴力的なエネルギーの解放である。

知らないからできるし、やったことも忘れてしまう。

殴り合うことに理由はないし、速さを競うことにも理由はない。

衝動と快楽には差がなく、そして反省もない。

おとなになると、行動に理由が必要になってくる。

しかし、時に理由が不要なことがあってもいいんじゃないか。

ということで、究極のオートバイを目指すことにした前回。

 

chuff.hatenablog.com

 

あえて理由を考えずに、残り少ない時間を突っ込むことにした我々。

我々とはジャーニーという店の吉川さんと私。

そこに、能天気な電話がかかってきた。

トライアンフ・トライデントの新車を買ったという電話。

彼もまた吉川マジックの信奉者であるので、その新車を持ち込んで見てもらいたいという話であった。

私はそのオートバイを知らなかったので、電話しながら検索をした。

そして、思わずこう言ってしまった。

 

ダッセー!

 

なんとも失礼な話であると、我ながら思う。

しかし、このマシンが我々のプロジェクトの起爆剤となったのである。

 

 

 

 

オーナーは焚き火の男。

マン島バハ1000マイルに行ってきたこいつである。

 

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彼は一時期バイク雑誌のミスターバイクでコラムを書いていたので、もしかして知っている人もいるかも知れない。

神龍って知ってます?

まあ、それはよいとして。

彼はホワイトハウス製のRCBレプリカを所有しておる。

なんでも、市販車の1号車らしいのであるな。

それがこちら。

www.bikebros.co.jp

このマシンに吉川マジックを施してもらって、世界が変わったらしい。

しかし、このマシンでツーリングはやはりしんどい。

ってことで、上記のトライデント購入になったらしい。

このマシンは新車といえど、いわゆる試乗車の新古車である。

それをけっこうお手頃価格で手に入れたらしい。

まあ、開口一番ダッセーと叫んだ私であるが、やはり乗ってみたい。

もしかしたら、実車を前にすると考えが変わるかもしれない。

焚き火の男がトラックで運んできたマシンを前にして私はこう言った。

 

やっぱりダッセー!

 

実に失礼な話である。

しかし、事実は勇気を持って語ろう。

私は、多分二度言ったような気がする。

 

 

 

彼はこう言った気がする。

 

「オメーの言葉は刃物だといい加減気づけよ!」

 

すまん。

いや、本当のこと言ってすまん。。

えっ?

 

しかし、古の人が言うに

「下駄は履いてみよ」

である。

もう大人なのであるから、決めつけてはいけない。

オートバイは乗ってみないとわからない。

 

しかし、心は欺けない。

その時の写真を探したのだが、一枚もなかった。

 

さてまたがってみる。

もうここで違和感がある。

フロントタイヤどうなってんだ?つかめねえ。

走り出してからもギクシャクする。

コーナーでも暴れるし、直線でも不安定だ。

乗り方が悪いのかと、色々試してみる。

エンジンの吹け上がりはいいが、それも特段評価できるものでもない。

我々はトライアンフ3気筒の傑作をすでに知っておるのだ。

 

chuff.hatenablog.com

 

おかしい。

なにかがおかしい。

私の後、吉川さんも試乗したが感想は同じ。

実は、焚き火の男も同じ感想であったのだ。

そこで足回りを煮詰めたくて神戸に運んできたのだった。

 

彼のいないところで、吉川さんと私は

「これ、どうにかなるもんすかね?」

「できるとこまでやりますけど、これはねえ」

 

などと、言っておったのだな。

なんて失礼な会話であろうか。

しかし、大人は真実を見つめる必要もある。

で一日がかりでの、軽いセットアップ。

翌日私が再度乗ってみることに。

正直この時点で、嫌いという感情になっていたのだが仕方がない。

吉川さんへのフィードバックと、オーナーの友のためだ。

 

なんとひどい書きようであろうか。

 

 

いつものように六甲アイランドまで行き、折り返してハーバーハイウェイを全開だ。

1つ目の左コーナーで足回りが向上できているのは感じた。

でもそれだけ。

エンジンが昨日よりフケが良くなっている気がするのは気のせいか?

なんだか昨日より、パワー出ている気がする。。

ポートアイランドまで走り、折返しでハーバーハイウェイに乗ったところでそれは起きた。

結構な速度が出ていた私に、黄色いステッカーのレンタカーが突っ込んできた。

私は急制動しながらギヤを落とし、一旦右側ギリギリに車体を寄せた。

車は私に気づかず、ノロノロと接近してくる。

リヤタイヤをロックさせ、微妙に車を先行させて左側に車体を振った。

 

実に危険な運転だ。

一応言っておくが、自慢しているのではないのだ。

ここからドラマが始まるゆえ、書かざるをえないのであるよ。

 

私の脳天にアドレナリンが噴出し、世界がゆっくり見える。

自分の動きはちゃんと見えて、その場の空間すべてを把握できている状態。

そして、トライデントはそれに応えている。

猛烈に迫る左側の側壁。

私は体を右に落とし、同時にアクセルを開ける。

オートバイは軽くフロントを上げながら、この異常なスラロームを軽々とこなしている。

そのレンタカーを抜き去った瞬間、回転計が跳ね上がった。

速度が一気に倍々で増えてゆく。

 

何が起こったのだ?

 

これは私の運転技術に由来するタイプのものではない。

何かが起きた。

私はそれから数十分、トライデントと甘い時間を過ごした。

もっと言えば恋に落ちた。

昨日までやさっきまでとは、完全に違うものになっている。

これはなんなのだ?

 

私の後、吉川さんが試乗した。

またしても驚いている。

「これは私がした仕事と関係づけられないですねえ。。」

 

つまり、吉川さんもこうなるはずがないと思っていたのだ。

二人で興奮して話しているのに、焚き火の男は乗ろうとしない。

なんでも、ホームコースで乗りたいというのだ。

まあ、それもよかろうよ。

しかしノリが悪いよなあ。。

多分、吉川さんと私が興奮している感じにドン引きだったのだと思う。

まあ、それも仕方がない。

 

それにしてもわからない。

一体何が起きたのだ?

なぜマシンは激変した?

足回りを調整して、エンジンが速くなるのあり得る。

しかし、あそこまでの変化はないと断言できる。

 

トライアンフの最安大型車。

もしかしたら、君は我々のプロジェクトの有力候補ではないのかね?

だとしても、あれはなんなのだ?

ネットの海で検索しても、出てくるのは阿呆な情報ばかりだ。

足つきがどうの、乗りやすさがどうの。

私が知りたいアレに言及してる人が一人もいない。

 

トライアンフ・トライデント660。

甘くうっとりするする世界を、なぜ君は突然見せてくれたのだ?

吉川さんにもわからない。

もちろん私にもわからない。

しかし、あの感じを私は知らないわけではないのだ。

登場が突然過ぎたので驚いたが、記憶の中のどこかにある。

しばらくして思い出した。

あれはこれと同じだ。

 

chuff.hatenablog.com

 

そこで一つの仮説が浮かんだ。

 

この仮説が、今回のプロジェクトの鍵となった。

悩んだ私は、彼の住む岡山まで再度トライデントに乗りに行ったのであるよ。

この頃から吉川さんと私の間で、今回の企画をなんとなくドリームプロジェクトと呼ぶようになった。

 

夢のために、岡山くんだりまで走るくらい軽いよね。

この背景には、実は私のW650のスピンオフが関係しておるのだけれど、それ書くと収拾つかなくなるもんでさ。。

興味あります?

 

つづきます

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