今週のお題「夏物出し」
オートバイのライディングウェアを薄い物に変えたのです。
夜の港をフラフラ走っていると、映画館が。
そこにはトップガンマーベリック。
おお、レイトショーやっておるのか。
ずっと気になっていたわけです。
時間を見ると、空港辺りまで走って戻ってくればいい感じ。
私はトップガンのテーマを記憶の底から掘り起こし走っておったのです。
で、観ちゃった。
結論から申しますと、これ観て後悔はしなかった。
学ぶことが多かったのでありますな。
しかし、複雑な思いにも至ったわけです。
ネットでは称賛の嵐。
あれCGじゃないのがスゲーとか。
前作と違って重厚な物語だとか。
この映画を観て頭をよぎったのは
ひたすらお金かけて脚本どうしてああなった?
だったのですねえ。
しかし、大好評なのには理由があるはず。
泣きポイントがあるというは、ついぞ私にはわからなかった。
この差はなんであろうかなあ。
という考察をやっていこうと思うのですな。
ネタバレとか、そう言うの気にしなくて良いですよ。
だって、もうトップガンがトップガン以外にありえないことに変わりなく。
トムが未だに反抗児で、恋もして。
バイクに乗って昔の恋人を口説き落とし
ビーチで筋肉見せびらかしながら玉遊びして。
困難なミッションを達成して、熱い仲間にもみくちゃにされるわけです。
36年間何してたの、トム?
なのですが、つまらないかというとそうでもない。
というか、たっぷり2時間楽しんじゃった。
これがまた不思議。
でもね、途中で何回か失笑は禁じえないわけですわ。
私がそんな感じ(家で見たなら実際に声に出して爆笑してたと思う)なのに、周りにいるお客さんは泣いていたりするわけです。
まあ、私が人でなしだという可能性もあるのですが、今回はそれ抜いて考えてみましょう。
お客さんの世代は私くらいの中高年と30歳くらいまでの人が半々くらい。
入場待ちの段階からいろいろ盛り上がってました。
トムの革ジャンと似たようなのを着ている人も。
こんなのね。
映画館の前には、カワサキニンジャ900Rが数台。。
前作でトムが乗ってたやつですな。
まあ、ええんちゃいますかな。
過ぎ去りし若い頃を思い返し胸を熱くする。
わからんでもないですわ。
ただね、落ち着いて考えてみましょうや。
私も含めて、若いときってやっぱりアホでしょ?
でね、そのアホの中でもこのコスプレしてるのはイタイ人やったやないですか?
ちゃいました?
でもまあ、中高年の熱い劣情は大目に見ましょう。
もう、皆初老なんです。
懐かしむくらいの権利はあるわけです。
やっぱ。F14かっこええしね。
さて、問題はお若い人です。
お若い人は何に激しくこの映画に胸熱なっとるんでしょうか?
この映画は
トムの、トムによる、トムのための映画!
もうね、トムのかっこいいが詰まっとるのです。
で、そのかっこよさってなによ?と考えれば若造と変わらんのです。
マーベリックの苦悩もわかりやすい。
ガキにわからない、大人だけが深く感じるものでもない。
トムが考える「時代遅れの男のかっこよさ」全開なのであるな。
しかし、待てよ。
トップガンと呼ばれるパイロットってのは、もっと非情でクレバーなのではないだろうか。
戦闘機一機のお値段も凄まじいし、パイロット育成のお値段も更に凄まじいだろうし。
ミッションの効果は、さらにもっと高額であろうし。。
それを背負ってパイロットは飛ぶんじゃないだろうか。
その世界は、スポ根ではないのであろうよ。。
これは映画である。
わかっておるのだが、36年温めておるのだ。
スタッフも超一流であるしな。
今やトムはジェリー・ブラッカイマーを雇える立場なのであるし!
でね、若い人に戻りますね。
ツイッターとかブログで確認しておると
「今年度最高傑作間違いなし!」
とか
「前作の軽いノリから、重厚な人間ドラマにしたトムはすごい!」
とかとか。。。
仮にトム・クルーズが完璧なマーケティングから作ったのであればそれもよし。
でもさあ、今やトムは力という力を手に入れたわけだからさ。
好き勝手にやっていいわけですよ。
でね、それのどこにお若い人が反応しておるか考えたのです。
① 誰も死なない
② 全てうまくいく
③ ストレートに熱い
④ 小学生から認知症まで理解できる物語
もしかして、トムは少年ジャンプ愛読者?
ネット大絶賛だった映画、最近ではボヘミアン・ラプソディかなあ。
私はリアルにクイーン世代だったのでありんすが、当時は色物扱いだったわけです。
それが今やエリザベスの在位70周年のテーマソングやしなあ。
This on par if not better than the Olympic James Bond scene.
— Michael Cowan (@mrmikecowan) 2022年6月4日
The Queen having tea with Paddington - incredible that at 96 and after 70 years on the throne she still has the power to surprise #platinumpartyatthepalace pic.twitter.com/88NP1ScpXx
エリザベス、あんたが一番ロックだぜ!
などなど考えつつ、トム・クルーズのことを考えてみた。
トムは年を取れない。
複雑にもなれない。
資金と力を総動員してビッグマネーを掴む。
でもそこまでだ。
実際私は2時間あまりを十分楽しんだ。
最後は胸焼けを起こすくらい堪能した。
若い頃の気恥ずかしさを思い出し反省もした。
きっと名作になるんだろうなあ。
でも数日間心の奥にやるせなさが満ちていたのも事実であるな。
人は何を信じておるのだろうか?
仲間?家族?お金?
ジュリアス・シーザーはガリア戦記に記しておる。
「人は見たいものだけ見て、信じたいことだけを信じるのだ」
(チーズのバター煮込みがあるとして、それを丼一杯食べたと思ってクリック!)