今週のお題「好きなおやつ」
神戸元町物語。
という企画を以前やっておりまして。
つまり神戸元町の激オススメ店のご紹介。
同時に、これはあかんやろというお店のご紹介。
その中でも、私が「神戸の誇り」と思うお店がこちらザンスね。
ワタイが通い続けて、もう20年は経っておるザンス。
お店そのものは、ワタイの母が若い頃からあったらしいので60年くらいですな。
でね、このお店。
衝撃の事実を知ったのでありんすよ。
ホント、お店があるうちに行っとくべきザンス!
ある日の午後。
ワタイは昼食をとっておったのザンス。
いつも決まってビフカツを頼むので
あまり他のメニューは食べてないのザンスよ。
上品そうな老齢のご婦人が、その日のランチを食べながら
マダムにお聞きになられたのですな。
「このハンバーグは、やはり秘密のスパイスをお使い?美味し過ぎますもの」
「いいえ、マスターはスパイスを使いません」
これを小耳にはさんで、ワタイは驚いたザンスのよ。
まさか、いつも食べておる料理にスパイスが入ってないだとう!?
「どういうことかしら?スパイスをお使いにならないの?」
「基本、ここの料理は塩と砂糖しか使わないんです。カニクリームコロッケにだけ、少々胡椒使うくらいですね」
な、なんだとう!
今、ワタイが食べておるビフカツにも胡椒は使ってないってのか!
このポテトサラダにも、何も入っておらぬんか!
「マヨネーズもケチャップも自家製ですし、それも基本は塩と砂糖と火加減だけです」
マ、マジなのか。。。
すごい。
すごすぎる。。
塩と砂糖と火加減。
あとはワインとお酢くらいなのであろうな。
それでこの味が出せるのか。。
お水を入れにきてくれたマダムに問うてみる。
8「少し聞こえたのですけど、塩と砂糖しかお使いにならない?」
マ「はい、そうです。マスターがごまかしは嫌だ、と嫌うんです」
8「では、唯一胡椒を使うカニクリームコロッケを頼みたいのですが」
マ「それは無理です。ランチで出すときしかないんです。うちはハンバーグもランチのみ。基本的にはメニューに乗ってません。あら、ご存じなかった?」
な、なんだとう!
ハンバーグがメニューにない洋食屋だとう?
あっ、本当だ。。。
日替わりのランチを食べに来るしかないのか。。
ハンバーグの日に。。
カニクリームコロッケの日に。。
マ「いつもビフカツをお食べになってらっしゃいますから、お気づきにならなかったのですね、フフフ」
ちなみにハンバーグは土曜日。
カニクリームは金曜日らしい。。
最高だ!
とんがってるぜ!
常連さんには、食後に紅茶を出してくれるママさん。
冬はホットで、夏はアイス。
小さなカップに、砂糖を入れて。
この激甘紅茶が妙に美味しい。
そこで、食べたことのないデザートを頼んでみる。
当然オリジナルで、手作り。
それがこちら。
干しぶどうが一つ乗ったプリン。
お値段300円。
では食べてみよう。
な、なんだこれは!
基本的には古典的なプリンなのだが、
とんでもなく濃厚で重い。
しかし、すぐに消えてしまう儚ささえ感じる。
これに比べたら、そのへんのスイーツなんて子供の遊びじゃねえか!
くらくらしながら、再度マダムに話しかけてみる。
8「あのう、そこまで調味料を使わずにここまで美味しいとなると、やはり材料にいいものしか使わないということですか?」
マ「それは当然のことでしょう?その上で、料理人の腕次第ということですね、アハハ」
恐れ入ったザンス。。。
改めて店内を見回してみる。
清潔。
しかも美しすぎる。
いつきてもこれなのだ。
マダムが天井まで毎日拭きあげておるのだ。
毎日毎日。。
何十年と。。。
いやはや、すごすぎる。。
入り口にかかっておる絵皿に、お気づき?
こちら、かつての常連だったご本人から頂いたものらしい。
わかる方いらっしゃるザンスか?
これは、田村孝之介ではなかろうか?
マ「さすが、よくご存知で」
8「ご本人から?」
マ「もう随分前ですけれどね」
ドン引きである!
マ「よく美人さんを連れていらっしゃいましたよ」
そんな、近所のおっちゃんみたいに言います?
いやあ、すごい。。
8「若き日のマダムがモデルだったとか?」
マ「そうだったら、マスターに叱られますね。ウフフ」
怪しい!
で、ビーフシチューとかタンシチューとか気になるわけです。
塩と砂糖しか使っていない、シチュー。
ちなみにこの手のレストランでシチューというのは
一般的なものではないのは知っとくべきザンスね。
なんというか、煮込み料理全般のことザンスね。
デミグラスに煮込んだ、タンや牛肉。
後日食べたのザンスけど。。
もうこれがね。。。
でもまたそれは別の話。
至高というのはこういうことであるな。
そう思ったことだけ記して終わるザンス。
この店は、ご夫婦の年齢を考えれば
残念ながらあと何年続くかわからないと思うザンス。
なので、行くべきであります。
ちゃんとしたカッコして、礼儀正しく味わうべきザンス。
そこには神戸の誇りがあるザンスから。
(いやあ、何十年通っても知らないことあるんだ。。行くなら急げ!でクリック!)