今、バッテラが滅びつつある。
諸君、あのバッテラが消えつつあるのだ。
バッテラという寿司を、なぜ子供の頃憎んだのか?
それは自分が幼かったからであるな。
昆布の意味もわからねえし、鯖なんてダサいと思ってた。
昭和の商店街の中には、
バッテラと稲荷と海苔巻きしか売ってない寿司屋があった。
どこの商店街にもあった。
なにかというと、客はバッテラを持ってやってきた。
大人たちは、なにかというとバッテラを出した。
バッテラは、寿司が回り始めるまでは
永遠のアベレージヒッターだったのだ。
ここぞというとき、必ずでてきた藤田平みたいなものだったのだよ。
なに?藤田平を知らないのか?
ハハ、これは笑止!
いぶし銀とはこの男のこと。
監督になっても、まともじゃない男。
まるで、バッテラじゃねえか!
藤田平の流し打ちを論じる場合ではない。
そもそも、なぜバッテラが消えたのかを考察せねばならんのだ。
きっかけはこれだった。
ギターウルフのセイジは、子供時代に大阪住まいだった時期があるらしい。
彼がツアーで大阪に来たとき、
「久しぶりにバッテラ食いてえなあ」
と思い、道頓堀を彷徨い見つけられなかったらしい。
あのバッテラが、行方知れず!
いやいや、それはないだろう。
だって、バッテラよ?
しかし、自問する。
じゃあ、お前はバッテラがなにか答えられるのか?
まあ、サバの押し寿司で
昆布で〆ていて
竹の皮にくるまれてて。。
ああ、なんということか!
俺はバッテラを知らない!
知ったつもりなだけだった!
おお、バッテラ!
お前は誰なんだ!
そこで調べる。
世の中には「バッテラ(さば寿司)」と表記されたり
「松前寿司(バッテラ)」とかもある。
しかし、真実は別のようだな。
そして、それを正してくれる人もまた居るのだな。
こちらの方が、懇切丁寧。
へえ。。
なるほど、これがバッテラか。。
しかも、もとはサバでさえないのか。。
さらに言えば、あれってポルトガル語だったんだ!
ママン!
俺知らなかったよ!
そこで、元町商店街をうろついてみたのだが
当然のごとくバッテラはない。
そこで大丸のデパ地下に入ってみる。
マスクをして、アルコールで消毒して
体温測られ、いざバッテラ!
しかし見つけられない。
しかたがないので、ひましてそうなオバちゃん店員に尋ねる。
8「あのう、バッテラを探しておるのですが」
オ「はい、どうぞこちらへ」
さすがだ。。
オバちゃんは知らないことないんじゃなかろうか。
関西のオバちゃんは何でも知っている。
最後に「知らんけど」と付けるのだが。
売ってそうなエリアにたどり着く。
オ「あれえ、さば寿司しかないですねえ」
8「さば寿司とバッテラは違うんですかねえ」
オ「そりゃ違いますよ!どこが同じな訳ありましょう!?」
生まれたときから、バッテラを食い続けた関西人の叫び。
俺は心の中で、そうだ!そうだ!オバちゃんは正しい!
と叫んでおったのだね。
オバちゃんはいくつかの店と交渉するも、
やはりさば寿司しか見つけられず。。
オ「バッテラは、バッテラは、、今は消えた文化かもしれません。。認めたくはありませんが。。これもコロナの影響でしょうか。。」
8「いえ、バッテラが死んでる訳はないのです。だって、あのバッテラですよ!」
オ「そうでございますね。バッテラが死ぬわけがありません」
8「お手数をおかけしました」
オ「お役に立てず、申し訳ありません」
8「いつか、いつの日か、きっとバッテラを」
オ「はい!」
もう、バッテラを探す探索兵の
死線を越えた友情のような感じ。
そして、俺は大丸から阪急(旧そごう)に向うことにした。
そして、たどり着いたのはここ。
焼き鯖寿司と、鯖寿司が売っておった。
バッテラの表記はない。
おまけに焼き鯖寿司のほうが安いとキテおる。
8「あのう、この鯖寿司ってのは?」
オ「はい、バッテラですね!」
8「バッテラと思っていいんですね?」
オ「だって、これバッテラでしょ?(隣の同僚オバちゃんに)」
同オ「そら、これバッテラやわ。サバの押し寿司ですもん」
8「しかし、しかしですねえ」
オ×2「バッテラです!」
8「そ、そうですね・・」
関西のオバちゃんに逆らってはいけないのだ。
つまり、どっちがロックかで勝負が決まるのだ。
もちろん、オバちゃんたちの方が常にロックだ。
結局俺は買った。
鯖寿司を。。
理不尽だろうがなんだろうが、そのまま受けとめて一流の仕事をおぼえてやる。オレは弱かっただけだ。かっこつけるんだ、どんな場面でも。肩で風を切って颯爽と歩くんだ。オレが存在するすべての状況で、かっこつけないまま逃げ出すのは許されない
— ギターウルフ セイジ語録bot (@guitarwolfsjbot) 2020年8月31日
全くそのとおりだぜ、セイジ。
鯖寿司をかばんに放り込み、俺は街に出た。
パチもんの、中華製トカレフを抱いている気分だぜ!
台風が近くにいる。
重い空気の中を俺は歩く。
カバンに、パチもんのバッテラを突っ込み。
俺は風を切って歩く。
バッテラ、君は今どの空の下に・・
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