断捨離が必要なのは、思い込み!
そう、精神で断捨離すべきは思い込みなんです。
今回そう思い知らされたお話です。
運命の人に出会いたい若者と、シニカルなオジサンの会話。
ずっと昔、信号待ちで「恋をしたい!」というお嬢さんを見ました。
でね、今回はカフェです。
盗み聞きやないですよ、言っときますけど。
聞こえてくるんだから仕方ないでしょう?
神戸の三ノ宮と元町の間、トアウエスト。
私は暑さにひしゃげて、アイスティーなど飲んでおったのです。
隣の席には、ちょっとカッコいいオジサンと若者。
容姿からすると、アパレル関係の先輩後輩?
彼らの議論が熱を帯びてたので、聞こえてしまったんです。
というか、そのお店の全員が聞いてたのではないでしょうか。
というくらいの「運命の人」論争を再現しようと思います。
聞こうとしなくても、壁に耳ありなのが現実。
でも最後まで聞けなくて悔しい思いをする、のもよくあること。
こちらの「オクラ茶は体にいい」って話は惜しかったですなあ。。
で、今回。
オジサンも若者もマスクは外しておる。
いいと思うぞ、もういいじゃねえかなあ。
店は「ご飲食時以外はマスクの着用をお願いします」とは書いてはいる。
でもな、ここは東京じゃねえんだ。
関西の神戸だ。
それはそれ、あれはあれの世界でありますね。
健全です。
オジサンは結構男前でヒゲ。
マスクの時代に髭をきれいに整えるのはガッツがある。
若者は、なんというか。。鈴木亮平的な感じ?
体鍛えてますよ、って感じ。
若者 「あのー、運命の人と出会うのって難しいっすかね?」
オジサン 「運命の人?」
外が熱波なので、カフェに入ったら出づらい。
ということは、最後まで聞けるかもしれぬな。
若 「そうっす。運命の人。結ばれるべくして結ばれるあれっす」
オ 「簡単じゃないの?」
若 「おー、さすが先輩っす。教えて下さい、その秘訣!」
オ 「運命なんやろ?」
若 「そうっす!」
オ 「運命なんやから待ってたらええやん!」
私このとき、ほんまや!と叫びそうになりましたわ。
運命なんやから、向こうからやってくるはずですわな!
ふと奥の席を見ると、30歳くらいのマダムがうなずいていおりました。
いやあ、真実の前には誰もが友になりえますなあ。
外が気温35度湿度85%でも、真実の前には誰もが跪くのです。
ところが。。。
若 「何言ってんスカ?運命は自分で作るもんっすよ!(薄笑)!」
私、関係ないのになんかムッとしちゃいました。
別の席のお嬢さん二人が彼をガン見してます。
このどちらかのお嬢さんが「運命の人」ではないことは確定ですな。
オジサンは、アイスコーヒーにシロップを足して一言。
オ 「なんか変な本読んだ?」
若 「俺こう見えても、ミッション系出てんす。叩け、ならば開かれん、っすよ。知らないんスカ?」
オ 「じゃあ、あちこちのドア叩いてこいよ」
ごもっともでございますなあ。
しかし、このオジサン。
なんというか、余裕があるというか。
微妙にやさぐれてるというか。。
アパレル(と決めつけてるけど)今厳しそうだもんね。
若 「だから聞いてんっすよ、教えて下さいよ。先輩、そう言うの得意じゃないっすか?」
オ 「俺が去年離婚したの知ってて言ってる?」
若 「はい!だからこそ、失敗の経験から教えて下さいよ!」
理屈が通っているようないないような。。。
黒のロングエプロンが似合ってるお店のお姉さんも、肩が揺れてるじゃありませんか。
静まり返る店内。
そっと流れるイパネマの娘。
オ 「俺も大学はミッション系ね」
若 「へえ、そうなんっすね」
オ 「神は自らを助くる者を助く、やで」
若 「ですから!そのやりかたを!」
オジサンタバコ吸いたいんでしょうな。
ジッポーをカチカチさせはじめました。
もちろん店内は禁煙。
外に出て吸うには、灼熱地獄。
オジサンはアイスコーヒーのおかわりを頼みます。
すぐにやってきた先程のウェイトレスさんが微笑みます。
無言で「大変ですね」と言ってるように見えます。
きっとムカムカしてきてるんでしょうな。。
私もジンジャエールを追加注文します。
お姉さんとアイコンタクト開始。
8 (聞いてました?)
姉 (ええ、もちろん。相当イタイですよね)
8 (お姉さんもお仕事とはいえ大変ですなあ)
姉 (いえ仕事ですから、にっこり)
と妄想していたら、第2ラウンド開始です。
オ 「俺が思うにやけどな」
若 「それを待ってました!」
オ 「運命やったら、神頼みが筋ちゃうの?」
若 (盛大にずっこけながら)「なんでやねーん!」
オ 「せやかて運命なんやろ?」
若 「ほな聞きますけど、その神様はどこに居るんですか?」
出雲?お伊勢さん?
近所では生田神社?
オ 「俺知っとるで!」
若 「知ってんなら、教えてクッサイよー!」
オ 「この店にもいっぱいおるわ」
若 「えー、どこ?どこっすか?」
オ 「恋の神様は女の子ちゃうの?」
名言いただきました。
もちろんオジサンも、決めたった!という顔です。
店内の女性全員が頷いております。
男性は全員物思いにふけっております。
わかります、わかりますとも!
しかし、物分りの悪い男性が一人。
若 「俺そう言うの嫌なんすよねー!」
気まずい沈黙の後、二人はお店を出ていきました。
残された人々は、各々の世界に戻ってゆきます。
お姉さんはグラスを洗い、マダムはスマホ。
お嬢さん方は雑談。
お店の中は日常を取り戻しました。
私はジンジャエールを飲みながら思索を続けておりました。
運命の人とはなんで有りましょうかな。
出会うも運命、別れるも運命。
人間というアミノ酸の構成物が、宇宙の開始から今に至るまでで作られたわけです。
河原の石ころだってずっとそこにいたわけではありませんな。
ある時形成され、何万年もたっておるわけです。
へたすりゃ、何億年前かにできておるわけです。
芥川龍之介が小説「舞踏会」でシニカルに書いておりますね。
「我々の人生のような花火」
まあ、誰もの人生が花火のように一瞬でもきらめくわけでもなく。。
しかし、花火のあの美しさが化学反応によるものだと考えれば。。
それは運命ではなく、法則となりえますなあ。
でも法則ってのは変えられませんから、やはり運命といえば運命。
そう考えついて妙に納得し、私はわたしの運命に向かうことにしたのでありますね。
私の運命とはなんでしょう。
英語でいうとNature Calling 。
つまり、おしっこでございます。。
しかし、先人が入っておられます。
なかなか出てきません。。
私は勘定を済ませ、仕事場に小走りで向かいます。
いえ、あまり急いでは危なそうです。
どうも水分取りすぎたようです。
なのに、汗が吹き出し喉が渇く。
膀胱にいっぱい水分溜まっとるのに、なにこの地雷プレイ?
ああ、これも運命ね!
(受け入れろ!それがお前の定めだ!そう、そうよ!でクリックも運命!)