毎日の平凡な人生でも
落とし穴に堕ちることはあります。
誰かが悪意で仕掛けた罠だったり、
自分の不注意で大損したり。
人間関係で痛い目にあったり、
大金を失ったり。
悪評を流されたり、
中傷されたり。
まあ、それも人生ですけど、
ホントに落とし穴にはまると
笑ってしまうんですよね。
あれはコンビニで買い物をした
とある深夜のことです。
ワタイの前でレジをすませた
お兄ちゃんが一人。
オタクの勲章のような
チェックのシャツと汚いダウン。
「いつ洗濯しましたか？」
っていうジーンズ。
やたらショルダーを伸ばしたリュック。
お約束のコンビニ弁当に
甘そうなドリンク。
ハッピーターンも入っているようです。
まあ、ここまではよくある風景。
ワタイはポカリを１本買ってすぐ外に。
お兄ちゃんはスマホをいじりながら
数メートル前を歩いていました。
突然お兄ちゃんが
側溝に落ちたんです。
しかも、かなり無防備に落ちた。
まるで忍者が姿を消すような感じで
瞬間的に消えました。
しかもちょっと深い側溝です。
痛みは想像に難くないわけです。
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お兄ちゃんはうずくまっています。
ひとりで呻いています。
可哀想なんですけど、
そのあまりの見事な落ち方に、
ワタイはプッと吹いてしまったんです。
お兄ちゃんはまだ呻いています。
ワタイははつい
「大丈夫？プププ」
と本当に心配で
声をかけてしまったのです。
プププは笑い声でありません。
大丈夫の「ぶ」が
何度も出てしまって
「ぷ」と訛ってしまっただけです。
何度も言いますが、
決して笑ったのではありません。
そこ誤解なきよう！
お兄ちゃんは本当に
恥ずかしそうに、且つ元気そうに
「大丈夫プププです！これくらいなんともありません！ンプププ！」
このプププは、
痛みを堪えていたのと、
恥ずかしいのとが
いっぺんに吹き出し、
大丈夫の「ぶ」がなまって
「プププ」に訛ったと
ワタイには思われました。
しかし、最後の「プププ」は謎です。
人間は不思議な発語をする
生き物であることを再認識。
ワタイは気を利かせて
足早にそこ立ち去ろうとしたのですが、
お兄ちゃんはなんとか側溝から
出ようとまだもがいているので、
数秒見とれてしまったわけです。
心配のあまり、何故か再度
「プププ」が出そうになり、
それはあまりにも失礼に思えたので、
目をそらして歩き始めました。
その瞬間、
ワタイの中で何かがはじけ
「プププ」アゲイン。
うーん、
手を貸してあげるべきだったかなあ。
でもなあ、あれって
バイクの立ちコケと一緒で、
目撃者がいる事の方が
辛かったかもなあ。
朝その側溝に
お兄ちゃんはもういなかったので、
まあ大丈夫だったのだろうなあと。
助けるべきだったのでしょうか。
立ち去るべきだったんでしょうか。
人生は答えの出ない問題の連続です。
人生はかくも難問に
満ちあふれているのだなあ、
と思った夜でした。
（人生は、どこに落とし穴あるかわかったもんじゃない。気を付けながらクリック！）
