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「夜間飛行」堀口大学の凄みを知れ!

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若いころ、と言っても10代の頃。

堀口大学のことは、あまり好きではなかった。

回りくどい言い回し。

フランス語を直訳したような

日本語としては未熟な文章。

 

そう思っていたのです。

若さとは、愚かさのことですなあ。

ホント嘆かわしい。

 

その大学先生に痺れたのは

「夜間飛行」を読了したときでした。

 

 

日本のフランス文学に

金字塔を打ち立てた堀口大学

彼は、実はまともな教育を

受けてはいないんですね。

出身はいいとこのボンボンですが

これがまた、根っからの遊び人なんですねえ。

 

日本の鶯 堀口大學聞書き (岩波現代文庫)

日本の鶯 堀口大學聞書き (岩波現代文庫)

 

 で、その遊び人ゆえの

洒落た感覚で、サン=テクジュペリの世界を

冷徹に訳し切ったのが、夜間飛行なわけです。

 

断言します!

読んだ方がよいですよ!

 

夜間飛行 (新潮文庫)

夜間飛行 (新潮文庫)

 

星の王子さま」だけではない、

実に文学として孤高な世界を

彼は書いているのです。

何年か前に新訳がいくつか出ました。

そのほとんどを読みましたが、

大学先生を、やはり超えられないわけです。

これは仕方ないかもしれませんねえ。

 

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

夜間飛行 (光文社古典新訳文庫)

 

 

物語は、説明が難しいので

ウィキであらすじを読んでも、

いまいちつかめないと思います。

 

出版が1931年ということですから

1920年代が舞台。

その時代がどういうものか、

車とオートバイの写真をつけます。

 

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この時代に、飛行機での郵便輸送に

挑んだ南米の飛行機乗りの話ですね。

主人公はリヴィェール。

彼は、その運行を取り仕切る立場です。

 

嵐であろうと、暗闇であろうと、

彼はパイロットたちに飛び立たせます。

その非情なまでの態度に、

多くのパイロットが、恐怖を抱きながら

夜の星間に消えてゆきます。

 

自分の役割をまっとするため

部下や、その家族から、

憎まれ罵倒される男です。

同時に、絶大なる信頼も勝ち得ます。

しかし、その信頼のもろさを

一番知っているのもリヴィエールです。

 

その孤独。

 

これが、大学先生にかかると

実に痛々しく、しかも毅然と美しく。

 

さすが、空前絶後の遊び人!

 

物語最後の数ページ。

そのために全体があると言ってもよいのです。

爽快な文学と言うのは

最終的に、その人が救済されます。

その救済が、どういう形であれ

どんな歪んだものであれ

自己肯定感に包まれる賛歌があります。

想えばこれもそうでしたねえ。

 

chuff.hatenablog.com

映画ではなぜか描かれなかった

主人公の「朝のシャワー」シーン。

あれも、見事に救済の話だと思うんですね。

 

リヴィエールの孤独は

どのように救済されるんでしょう。

こればっかりはねえ。。

 

ほら、フルマラソン走った後に

ランナーが何を感じるかとか、

分からないでしょ?

スカイダイブで、自然落下しているときの

脳内で感じる悟りのような感覚とか。

 

手間暇かけないと

分からないモノってあるんじゃないでしょうか。

 

正直、フランス語を訳したものは

独特の文体になれるまで、時間はかかります。

でもね、挑戦してみる価値はあると思いますよ。

どうです?

 

激オススメできますよ!

 

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人間の土地 (新潮文庫)

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