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ミスティック・リバー 原作を読む

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ミスティック・リバーはオススメの映画です。

ショーン・ペンの演技が素晴らしい!

 

川べりで、昔なじみを追い詰めてゆくシーンは、

何度観ても、どうしようもなさにうな垂れます。

イーストウッドが監督した作品では、

一番の出来じゃないでしょうか。

アカデミーの受賞は当然でしょう。

 

映画でもかなり、胸苦しさのくる作品ですが、

原作読んでみて、イーストウッドが甘ちゃんに見えてきました。

 

今日は、その原作のほうのお話し。

 

 

ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ミスティック・リバー (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 ハヤカワの功績として、

いろんなものを出してくれる、ってのがあります。

一方、ハヤカワから出てしまうと、

SFかミステリーと思い込まれますね。

これは弊害ですね。

 

なにもハヤカワに罪があるのではないと思います。

すべてはイメージです。

 

「イメージ」については、こちらで詳しく書きました。

chuff.hatenablog.com

 

でもねえ、この作品は、深い深いところを描いています。

ジャンルとしては、現代アメリカ文学ではないでしょうか。

同じように、不運の名作として、

私がことあるごとに、

他人に押し付けてでも読ませる本があります。

それがこちら。

 

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

初秋 (ハヤカワ・ミステリ文庫―スペンサー・シリーズ)

 

 これも、アメリカ現代文学だと思います。

 

両者に共通しているのは、「殺人事件」を描いてはいるものの、

「救い」がテーマになっていることでしょうね。

これは西洋社会の中でも、特にアメリカでは重要です。

小説や歌詞の中に出てくる 「RIVER」 は、

常に生まれ変わりの場所です。

これはもちろんイエスの洗礼と絡むお話、

だと思います。

アメリカには根付いてる感覚ですね。

 

こういうの知らずに、

歌詞とか詩を訳すと間違えます。

とあるサイトで教えたところ、

サイト主が変にキレたことありましたねえ。

 

そこまでして常に「救い」が必要な背景は、

強い仲間意識、そのうらはらの「裏切り」が、

いつも圧倒的な暴力を伴っていることでしょう。

そこには、明らかに「生き残ること」への優先性があります。

その感覚は、アメリカにいると強く意識します。

 

映画も名作ですから、まずは観てみましょう。

 ネタばれとか気にしなくていいです。

そんなレベルではありません。

ミスティック・リバー [Blu-ray]

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私は映画が先だったので、

読んでいても、頭の中ではショーン・ペンで映像化されるのですが、

原作では、映画より遥かに複雑な設定です。

まあ、あの設定を映画では描き切れないのかもしれません。

 

この世界も一言で要約するなら、

「救い」

これにつきます。

 

日本で「救い」というのは、穏やかな印象の言葉でしょう。

でも、もともとそういうもんじゃないですね。

屁理屈をこねくり回し、そのすべてを暴力的にでも整理する。

その向こうに見える、「罪悪感のない」世界ですね。

 

この「罪悪感」をもともとベースにしているのが、

キリスト教の考え方です。

原罪、ですね。

なので、まあそうなるのかもしれません。

しかし、この原作の「救い」の形は、実にアメリカらしく、

利己主義と暴力にまみれています。

その一方で、なんとも平和なやさしさにも包まれています。

長編ですから、読書慣れしたいない人には、

難しいかもしれません。

でも、文章そのものは難しくはないですよ。

映画でストーリーも把握できていますので、

ハラハラドキドキもありません。

それでも唸るような原作と、見事な和訳。

 

現代アメリカの精神世界を知るのは、

とてもよい本だと思いますよ。

英語が読める人は、英語でもいいと思います。

原文も素晴らしいです。

Mystic River (English Edition)

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 のちに「シャッターアイランド」の原作書くとは思えないです。

あれは。。。

 

 原作読んでないですけど、映画化に失敗しただけとしても、

ちょっとねえ。。

あの雰囲気を好きな人もいるでしょうけど。

でも、ミスティックリバーデニス・ルヘインの世界は、

読んでおくべきだと思いますよ。

 

はっきりオススメできますよ。

 

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