前回「ものそのもの」を
撮るということを、お話しました。
そのためのツインイメージの話とか。
今回もその続きです。
では、どうやったらそれを
できるようになるのでしょう?
そのためには、普段からそれを
読み取る訓練というか、
習慣が必要になります。
この本の中で、森村昌泰氏が上げている、
ブレッソンの写真で、鍛えてみましょう。
まずは、彫刻家のジャコメッティの写真からです。
ジャコメッティの作品をまず見てみましょう。
こんな感じで、縦方向に
直線的な作品が多いのです。
激しいタッチです。
興味のある方は、こんなのでもどうぞ。
撮ったジャコメッティがこれ。
とても、ジャコメッティらしさを捉えた、
まさに「決定的瞬間」だと思います。
しかし、これを「ジャコメッティ」にしているのは、
前回お話した、ツインイメージのなせる技なわけです。
どうです?
読み取れます?
解説と言うか、図解で説明すると、
こうなります。
この視線の誘導。
ダブルに存在する、ツインイメージ。
さあ、どうでしょう?
分かってきましたか?
まずは、こういう作品に触れて、
頭でわかっていないと、
その「決定的瞬間」はつかめないんですね。
これは、武道の「型」が重要なのと同じでしょうね。
反復されて、瞬間的な反射として行動できること、
それが大事なわけです。
では、つぎはちょっと難しいですよ。
ただの風景写真に見えるこれは、
ブレッソンの傑作の一枚と、
評価も高い作品です。
この写真から、ツインイメージを、
もっと言えばトリプルイメージを見抜けたら、
なかなかのものです。
では解答です。
さあ、どうでしょう?
反復されるイメージを、つかめてきましたか?
これらは森村氏によって、
すごく単純化されたものですので、
探せばもっと出てくると思います。
いずれにしろ、この反復イメージを掴むには、
写真を読み解く練習を
しなければならないということです。
なんだかいっぱい撮って、
絞りとか、シャッタースピードとか、
レンズがどうのとか、わかったところで、
全く意味がない、とアーネストは断言しています。
見る力、「ものそのもの」を見抜くこと、
それができれば、例えばこういう抽象画も、
分かるようになってきます。
これは、ピエト・モンドリアンの
日本で言えば、大正時代です。
これも、ジャコメッティの写真の、
イメージと骨格だけを抽出すれば、
こんな絵画になりますよ、って話なんですね。
そこにある、反復されるイメージが生む美。
そして、こういう骨格が現れてくると、
写真は新しい段階に進むことになります。
そう、驚くべきことに、
この難解なイメージの反復は、
基礎中の基礎なんですね。
ですのでね、あるうちに買っくべきだと思います。
自由な作風とか、
個性を出してるとか、
ちゃんちゃらおかしいです。
物事には、学ばねば分からない基礎があります。
これは青山先生も仰られてることです。
確かに、偶然いい写真が取れる場合もあります。
しかし、それはただの偶然です。
次回、写真の理論にさらに深く入っていきます。
(そのうち、どっかから怒られそうな気もしてきたけど、まあいいんじゃなかなでクリック!)
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