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アーネスト・サトウを知ってるかい? その6 全てに理由があらねばならない!

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前回、「反復するイメージ」について書きました。

みなさん、ついてこれていますか?

あのあたりが、一つの壁です。

chuff.hatenablog.com

 

このあと、芸術新潮では、

現像の話になってゆくんですが、

富士フィルムさえ、白黒フィルムの製造中止を発表しましたから、

ちょっと無理がある話かもしれませんね。

www.jiji.com

なので、エッセンスをくみ取って、

私なりにまとめてみます。

 

 

芸術新潮 1999年 06月号 [特集 カメラ好き集まれ!]

芸術新潮 1999年 06月号 [特集 カメラ好き集まれ!]

 

この中で、森村泰昌氏がうけた、

写真の基礎の授業での衝撃を読むことができます。

詳細は省きますが、彼の暗室は極めて清潔で、

もう、宇宙船みたいな世界です。

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使うパレットやバットが、

ステンレスのよいものだったりするわけです。

これは、すべてに理由があります。

 

プラスティックや質の悪いものは、

やがて傷がつき、薬品が溜まり、

思わぬ事故につながる。

ゆえに、高価な、よい材料のものを、

できるだけ使うんですね。

つまり、高いからではなくて、理由がある。

 

この考え方は、「モダニズム」と呼ばれるものと、

深い関連があります。

後に、この考え方で、

アーネストは大学ともめ始めるのですが、

それはまた別の機会に。

 

では、今となっては意味がないかもしれない、

フィルムの現像について、

アーネストの考えを書きます。

意外と示唆してくれるものはあると思いますので。

 

その極意は、

 

「ネガは薄く、焼きは硬く」

 

こういうところにこだわるのが、

アーネストらしいと言えます。

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というのも、多くの高名な写真家は、

実は現像をしない人も多く、

そもそもできない人だったりもします。

ロバート・メイプルソープもすですし、

 前回取り上げた、ブレッソンもできません。

 

 たしか、ロバート・キャパもできなかった気がします。

 

フォトグラフス―ロバート・キャパ写真集

フォトグラフス―ロバート・キャパ写真集

 

 

焼き付け、現像などは、卑しい仕事で、

専門の職人にさせればいい、と考えるのが普通の世界です。

しかし、アーネストは違います。

その世界にまで切り込み、あえてコントラストの強く出る手法を、

学生に教えるのですね。

 

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まあ、確かに薄いネガです。

これに、きつくコントラストの出る印画紙を使い、

これまた硬い反応のでる薬剤を使います。

 

しかし、これらはアーネストの好みではなく、

理由があってのことだったわけです。

それは「黒をつぶさず、ゆたかに表すため」

のことだったようです。

 

これを今のデジタルで考え直すと、

面白いかもしれません。

撮影後にモニターで加工できるわけですが、

その前に、そこでコントラストを強くすると、

当然色がつぶれます。

そうならないために、あらかじめ硬く準備して、

最終的には、複雑で豊かな操作を、

PCで行うともいえるでしょう。

 

では、それはなんのためでしょう?

そこでここに帰るのです。

chuff.hatenablog.com

「ものそのもの」に迫るためです。

 

表現とは、それを閉じ込めるものです。

そのために、技術を正しく使いなさい、

というのがアーネストの理論だと思います。

 

理由なき「直感」など存在しないのです。

 

直感とは、あとから理由を説明できるものであらねば、

ただの意味のない思い付きでしかありません。

 

当時、写真は消耗品で、

「芸術」としては扱われていなかったのです。

その詳細はここに書いていますので、よろしければ。

chuff.hatenablog.com

 

そんな1970年代に、

アーネストは「表現」としての、「写真」を、

模索していたのでしょう。

 

こういう知識は、今の時代にそぐいません。

しかし、私が思うに、機材とソフトの進化によって、

私たちが、見えなくなってしまったものを、

教えてくれるように感じるのです。

 

理論編はこれくらいにしておきます。

ご興味ある方は、やはりこれを買うべきです。

 

芸術新潮 1999年 06月号 [特集 カメラ好き集まれ!]

芸術新潮 1999年 06月号 [特集 カメラ好き集まれ!]

 

 

次回からは、大学人としてのアーネストの闘いと、

ネットにもあまり出回っていない、

彼の作品を紹介しようと思います。

ですので、続きますよ!

chuff.hatenablog.com

 

(どうです?スマホだろうと一眼だろうと、もう一度考えてみません?でクリック!)

 

ポートレイト 内なる静寂―アンリ・カルティエ=ブレッソン写真集

ポートレイト 内なる静寂―アンリ・カルティエ=ブレッソン写真集

 
アンリ・カルティエ=ブレッソン写真集成

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