古い記憶を探る旅は、
心の敷石をめくるようなものザンス。
その上に建った家よりも、
遥かに雄弁に歴史を語る
その押し固められた土の匂い。
前回、ちょっとだけ剥がしてみたわけザンスが。。
どうして今更こういうことを
書く羽目になったザンスか、謎ザンスが。。
しかし、開けたパンドラの箱の
その奥に眠ったものは、
錆びたナイフのように輝いていたザンス。
すえた匂いを放ちながらザンスが。
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グランマを窓から離れさせ
私は外を覗く。
火は上がっているが、誰もいない。
炎のゆらめきが、石畳をぼんやり照らしている。
私が、なぜ冷静でいられたのか、
今でもわからない。
何かが始まる予感はあった。
そいつ、どこで、どうやって、
それが起こるかは知らないが、
確実な予感だけはあった。
いや、言い換えよう。
予感というのは正しくない。
私は待っていたのだ。
手足が冷たくなり
眉間に意識が集中し
頭の奥がクリアーになってゆく
この感覚を。
右手に持ったままのアポンダンスを
ゆっくりと噛じる。
グランマは分かっている。
私がその世界に出てゆくことを。
それが、グランマを守ることであり、
この街で暮らすということを。
ここで籠もるほうが正解だと思う奴は、
その後のことを分かっちゃいない。
噂は人を追い詰める。
「グランマ、ちょっと散歩に行ってくる」
「そうかい、私のソレイユ。気をつけてね」
いつもグランマは私をそう呼ぶ。
私のソレイユ、
私のソレイユ。
一度、グランマに訊いたことがある。
「どうしてソレイユなの？僕は夜に光るモアのほうが好きだよ」
「お前は、照らされて光るモアじゃないの、だからソレイユよ」
まだグランマが杖なしに歩けた頃のことだ。
彼女の髪は美しく、夜風になびくのを見るのは
私の小さな誇りだった。
グランマは正しい。
今の私は、たしかにソレイユを抱えている。
冷えることのない、この厄介なソレイユ。
私はまずピエールに会いにゆくことにした。
彼が関わっていないことは、
この街では起こらない。
あらゆることに、ピエールが関わっている。
ピエールが関わっていないこと、
例えばシードルを飲むこと。
それは、危険ということなのだ。
誰もシードルのために
危険を犯したくはない。
だから、この街ではシードルは飲めない。
遠くの国には「Udon」という
食べ物もあるそうだ。
もちろんこの街にはない。
ピエールがそれを、知らないからだ。
この街を出たら、シードルを飲む。
そして「Udon」を食べる。
それを思いながら過ごしてきた。
しかし今は、グランマを守らねばならない。
「私のソレイユ、ちょっとこっちにおいで」
そこには缶に入ったカリソンがあり、
グランマはボロ布を持っていた。
「さあ靴を磨きなさい。それとカリソンはいつも用意しておくからね」
ピエールに合うときは、そう、カリソンが必要なのだ。
グランマは私の足元にかがみ込もうとした。
「大丈夫だよグランマ。僕のブーツは光っているよ」
「用意のいい子だね、私のソレイユ」
カリソンを抱え、私はドアを開けた。
ピエールに会うために。
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もう、泣きそうザンスね。
分かる人にだけでいいザンス。
カリソン、ご存知っすか？
こういうお菓子ザンス。
幸せを呼ぶお菓子、ともいわれているザンス。
あいつら、これで酒のんだりするザンス。
甘い菓子がいざなう、暴力の世界。
ピエール。
何年ぶりかで、思い出したザンスねえ。。
（バレテナイザンスは、正式にはこう書くザンスよ。苦い記憶と足湯でクリックザンス！）
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