先日、かかりつけの病院の待合室で、
ちょっと古い週刊文春を読んでたんです。
そこで、町山智弘氏が
アンソニーの追悼文を書いていたんです。
そしたら、妙に泣けてきましてね。。
偶然なんですが、私の知り合いのアメリカ人が
ちょっとアンソニーと交流あったようなんです。
これをグーグル翻訳で読んだらしく、
いろいろ教えてくれました。
もう、多くの人には興味のない人だと思うんですが、
私大好きだったんですねえ。
今更、さらにそれを実感したわけです。
ラモーンズのマーキー・ラモーンも
追悼文をローリング・ストーン誌に載せています。
マーキーの以下の発言は、いろいろ考えさせられます。
トニーは正真正銘のパンクだった。ほら、トニーを見てみなよ。彼は自分がやりたいことをやっていただろう。余計なことに惑わされないようにして、自分のライフスタイルを維持していた。これって簡単じゃない。だから、彼の中にちょっとした焦燥感があることに俺は気付いていた。でも、人生の一時期にドラッグなんかをやると、それが自分の身体の中にずっと居残るし、取り除くのが本当に大変なんだ。俺の中にも同じような悪魔が昔住んでいたら、トニーのその感覚を理解できる。俺はその悪魔を退治したけど、トニーがどんな感覚かは理解できた。そんなふうに、テレパシーみたいな感覚が俺たち二人の間にはあったんだよ。
ボストンの近くに、プロビンスタウンという街があります。
日本でいうと、湘南と軽井沢を足したような街です。
私の友人は、もう長くそこに住んでいるんです。
アンソニーは、その街でキャリアをはじめたようなんですね。
夏休みのアルバイトとして、
そこのレストランの皿洗いから入ったようです。
その頃、そのビーチではいろいろ刺激的な光景が
日々続いていたようです。
パーティーとドラッグとセックス。
どうもその友人は、その頃アンソニーと出会っていたようです。
聴くと、気まずいことになりそうで。
今やもうおばあちゃんな年齢の人ですけれど。
アンソニーの名を一躍有名にしたのは、この本。
「オススメメニューは絶対食べるな。在庫整理だと思え」
「ステーキでウエルダンは頼むな。古い肉を出されるぞ」
などと、実に裏方上がりらしい、毒に満ちた楽しい本です。
同時におあまりお金儲けには
興味はなかったようです。
まあ、それもポーズかもしれませんが、
やることがハチャメチャです。
地元民が食べるものは、躊躇なく食べるわけです。
それが臓物であろうと、非加熱の肛門であろうと。
紛争地帯にも普通に食べに行くわけです。
例えばイラク。
取材中にまさに戦闘地域になってしまった時、
彼は炊き出しを作り、それをふるまいながら
逃避行と続けるわけです。
生血も、脳みそも、関係ありません。
お酒も同じく全く迷いなく飲みます。

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「だって、やってみないと分からないじゃないか」
そんな彼に何があったんでしょう。
こればっかりはわかりません。
彼は、ずっと胸の奥に何かを飼いならしていて、
ある時それに歯向かわれたのかもしれません。
ただね、普通に思うんです。
彼を食事をしたかったなって。
コネがないわけでもなかったことを、
知ったら、よけいにそう思うんです。
海の向こうで死んだ一人の男に、
こうも感傷的になるのも不思議なんですけれども。
人間の可能性を信じさせてくれる天才は、
もしかしたら、いつもギリギリのところを
歩いているのかもしれません。
(アンソニー、あなたの人生に乾杯。たとえそれがあの終わり方でも。で、クリック!)

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