若さってのは残酷でありますな。
例のお隣さん。
お父さんが娘さんにカウンターを決められました。
というのも、お父さんが熱く熱く語ったのに、
お嬢さんたちは、ただ暑かったようで。。
「お前ら、観る?今日ベルギーの三位決定戦やで」
「うーん、暑いしなあ」
「うち、明日祇園に行くし、はよねるわ」
「おねえちゃん、祇園祭行くん!?」
「はじめてやけどな」
「みなとまつりやなくて?」
「遠征や、遠征!」
「おい、誰と行くねん?」
「そら、内緒や。青春してくんねん」
「なんや、お父ちゃん。妬いてんのか?お父ちゃんはサッカー見とき」
どうやらお嬢さんがた、すでに興味失っているようです。
まあね、分からんでもないです。
特に上のお嬢さん、彼氏できたばっかのようですしね。
そら、地元の神戸のまつりより、
祇園の方が盛り上がるのでしょう。
で、深夜。
窓からは小さな明かりが漏れておりました。
お父さんが、お一人で観てらっしゃるんでしょう。
で、朝のこと。
私は朝食を用意していました。
「お前ら、今回のは聞いた方がいいと思うぞ。すごかったぞ」
「はいはい。ほな話しいな」
(お母さんらしき声)
「もう、今日はソーメンでいいよねえ」
「えー、それは、気持ちはわかるけど、ちょっと嫌や」
「私は、昼前に出るから、要らんで」
「で、そのとき、ベルギーのカウンターがやな」
「お父ちゃん、熱すぎやねん!」
「そら、夏やから暑いやろ!」
「ちゃうねん。お父ちゃんが熱すぎ!」
「おまえら、リスペクトがどうのとか・・」
「そうや、確かに言いました」
「ほな聴けや」
「そやからな、外が暑すぎやねん!」
「それは俺のせいや無いと思うんやけどなあ」
お母さんの一言ですべて終わりました。
「つまり、あんたの話聞きたないねん。この子らは」
お父さんは黙り込み、
お嬢さんがたは祇園の話で盛り上がり、
お母さんはせっせと何か家事をし。
この会話を楽しみながら、
私はふと感慨にふけっていたのですね。
もう、お隣さんからしばらくは、
盛り上がる黄色い声が聞こえないでしょう。
ワールドカップの決勝のドラマも、
もう終わったことなのでしょう。
テロに揺れるフランス。
領土を半分持っていかれたロシアを、
ロシアの地で下したクロアチア。
戦争の代理行為としての、サッカー。
ボール一つで始められる故、
最も競技人口が多いと言われるスポーツ。
国家の威信。
動く巨大な黒い資金。
そんなこと、若さの前では無力なわけです。
まあ、そりゃそうでしょうなあ。
自分の若き日を思い返しても、
昨日言ったことに、責任もってなかったですし。
いいんですよ、お嬢さん。
それが正しいと思います。
お父さん、お気持ちはわかります。
でも、あきらめなはれ。
でもね、言っとくけどね、
祇園祭りの宵宵宮とか、
暑さが地獄レベルでっせ!
まあ、それも楽しいってのが、
夏のあり方だと思います。
楽しんできてください。
(お父ちゃんの切なさに共感しながらも。。若さを肯定したい気分!でクリック!)