こういう本が数千円で買えるという時代に感謝すべきです。
特にお若い方。
迷わず買いなさい!
プログラミング以前に、
データを残すとはどういうことだったのか。
そこから始まってんですねえ。
デジタルも。
年を取るということは、
こういう本を理解することが無理になるということです。
こんな本を世に出しただけで、法政大学に感謝しますよ!
年取った人は、こういうことを、
理解できなくなった自分を嘆きましょう。
ですから、買いなさい。
あるうちに。
もともとできていたのかもしれない、と夢想しながら。
さて、明らかに難解そうな本なので、
そのまとめをサクッと書いておきます。
極端に言うと、自分の思い込んでいる世界の根底から、
ひっくり返されるような本です。
いいですねえ、こういう刺激は。
読んで言えて、頭が沸騰しそうです。
ここで、テクストとあるのは、
まあ「本」だと思ってもらって構いません。
でも、今の姿の本を考えちゃいけません。
こんなのは、せいぜい二百年ですよ。
その前は、こういう感じ。
古い本と言ってもこのレベルまでですよね。
本がこういう形に、しかも紙でできるようになったのは、
比較的最近のことです。
古いものでもせいぜい数百年。
まあ、17世紀以降と考えてよいでしょう。
なにしろ、印刷しなきゃいけませんしね。
それに印刷機の登場後も、
実はしばらくは聖書しか刷れないんですね。
それ以外の文字の羅列は、
ほぼポルノ扱いです。
学術書なんかは、「印刷」なんて下品なことしませんでした。
東洋でも、ながらくは竹簡です。こういうやつですね。
「手書き」です。
中国にはごく初期の印刷技術はあったものの、
量産はできません。
その前となると、基本的にデータは「手書き」です。
しかも、紙は貴重品で高価ですから、羊皮紙なんかに書くわけです。
一発勝負ですよ。革ですから。
その前は、本というのは、バラバラなものです。
どんな本も、バラバラの束だったり、
これは初期の「本」です。
でもそれでも新しい。
その前は、よくて巻物。
上の写真の本なんかは、中世ですから、
かなり進化しているわけです。
これ、手書きの革ですからね。
世界で二番目に古いと言われている聖書の写し。
シリア語のようです。
こういうものが、バラバラにあったわけです。
さらにその前になると、粘土板とかです。
よく、それが残ったと思いませんか?
物質よりも、書かれているデータそのものが。
残し方の一つに模写がありますが、
大真面目なんです。
なんせ、失敗したらとんでもなくコストがかかりますからね。
模写できるのは、一部の天才たちのみです。
なぜなら、傷むんですよ、本が。
なので、「本を開く」ってこと自体が、
免許制みたいなものです。
しかし、いつでもそこにいられるわけではないわけです。
コピーしないとね。
もちろんコピー機はないので、
模写か、覚えるか、の二択です。
そこで、最初の記憶法は「発声」しながら読むことです。
「声」そのものが、記憶デパイスだったわけです。
世界的に見て、人間が黙って文字を読む、
「黙読」ができるようになったのは、ここ四百年かそこらです。
じゃあ、その前は?
みんな声に出して読んでいたわけです。
だからこそ、「韻」が大事なわけです。
ゴロというか、リズムがないと、覚えられないわけです。
ならば、聞くほうも、やはりいい音で聴きたいわけです。
イスラムの坊さんなんか、声がダメだと出世できないんですよ。
いい声の坊さんのお経の方が、ありがたい感じするのも同じです。
ですので、書く方も、響のいい文体になるわけです。
基本的に宗教施設は音が響きやすくなっています。
これには、ちゃんと理由があったわけですね。
さらに、科学と宗教もまだ分かれていませんから、
バリバリの科学文章でも、美しくないと却下です。
文字から「音」に置き換えて記憶したのが、初期の記憶技術です。
図書館なんて、ものすごくうるさい場所だったようです。
しかも、メモとか取れないわけです。
なにせ、紙がないわけですから。
そこで、みんな考えたわけです。
「どうやったら、記憶できるのか?」を。
最もその必要に迫られたのは、
口伝以外の情報伝達を
何百年、下手したら何千年と、
長期にわたってやっていた職業の人、
つまりは坊さんです。
イヴァンイリイチが書いているのは、
西洋の修道院の技法ですが、
東洋も似たようなものでしょう。
これ知ると、ちょっと腰ぬかしそうになります。
そのやり方が、なんというか、
今のコンピューターの理論そのものを、
アナログ形式でやっているわけです。
何言ってるかわかんないでしょ?
大丈夫です。私が説明します。
でも長くなったので、二回に分けますね。
ここは前編ということにしましょう。
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