開店するのが深夜。
釣り客や漁師、トラック運転手、
タクシー等々を相手に、深夜から早朝にかけて開いている店でした。
いわゆる「飯屋」なんですけれど、
テーブルの上に大量の天ぷらが置いてあり、
好きなだけ自分で取って、食後に個数を申告制で勘定するという、
性善説に徹した店でした。
その近くに交番があり、
そこのお巡りが夜食に天ぷらを買いに来るという噂があり、
通称「ポリ天」と呼ばれたんです。
当時、野菜や魚の天ぷらが一つ50円位で、
エビだけが80円でした。
コンビニなどがない時代、
深夜に徘徊する悪ガキどもは、
夜食に窮しておりました。
ですから、ポリ天には、
柄の悪いガキも大勢来る訳です。
ご飯を大盛りで注文し、天ぷらを馬鹿ほど食べながら、
申告制を利用して「天ぷら3個ね」と言うガキが。
馬鹿安な料金で食い逃げという。
まあひどい話なんですが、
その店に来る少年たち全員がやっていたと思うんですね。
店側も、当然知ってるわけです。
文句を言われたことはないわけです。
もちろん、とっ捕まった奴もいない。
直ぐ側が交番なのに。
確か、おばあさんと、その息子らしき男性が切り盛りしていたと思います。
なぜ、だれも叱られもせず、そのまま食い逃げできたのか。
それが分かるようになるのは、
もうちょっと大人になってからのお話です。
続きます
(なあ、世界は広いんだ。小さいことで、そうカリカリすんなよ。いっそクリックしちゃどうだい?)