あれは、今から10年以上前の事。
とあることがきっかけで、私はある有名人と知りあいになった。
否、それは失礼である。
正確にはさる有名人の経営する店でバイクを買って、客の一人になったのである。
その有名人とは・・・・。
レーサーの条件を、
全て満たす男。
清原明彦先生である。
まあ、ご存じない方も多いでしょうけれど、世界グランプリまで行った方ですよ。
レーサーとしては、悲運というか、自業自得というか。。
まあ、神様です。
レーサーと言う人種に、清原さんからご教授願う前に、
この十数年前のツーリングレポートをお読みいただきたい。
念のため言っておきますが、世界GP行ったらこんな人ばっかですからね!
バイク界で先生を知らないやつはモグリである。
止まらない、曲がらない、おまけに真っすぐ走らない、
の三拍子そろったバイク、あの「マッハ」を作った男である。
いわゆる後家さん作りなマシンである。
市販車でそんなジャジャ馬なのに、
その試作車に乗っていた偉大な方である。
俺はこの年になって、
まさか赤面しながら握手を求めることをしちゃう、
なんて思いもしなかったが、しちゃったのである。
しかも先生はサインまで書いて下さった。ああ、有り難い・・・・。
さて、そんな先生とも気さくに世間話などできるようになったころ、
先生から俺に指令がおりた。
依頼ではない、まさしく指令だ!
「おい、俺をツーリングに誘え!」
さて、新手の嫌がらせであろうか?
それとも新しいネタなのであろうか?
などと考えながら、俺は多少のヨイショも込めながらこう言った。
「花は桜木、相撲は大鵬、巨人でいやあ長嶋ですよ、清原さんは」
「そやな、だからなんや?」
「お誘い頂けるなら光栄ですけど、誘うのは順番からして逆ではないかと?」
我ながら尤もである。それに対して先生曰く。
「そんなことはどうでもええから、誘え!」
さすがは先生である。
もちろん、返事は二つのカタカナ。
「ハイ!」
選択の余地はないのです。
俺は当然のように幹事になるようである。
幹事とは聞こえは良いが、パシリである。
そうまさしくパシリである。
しかし、あの世界を舞台に戦った男のパシリである。
よーし、と気合いをいれて快諾したのである。
還暦前(当時)とはいえ、先生は挑発にめっぽう弱い。
客に負けたら店をたたむとまでおっしゃるのである。
ならば、廃業させ、気楽な老後を送っていただくのも、
後に続く我らの義務である。
などと考えてもみたが、
結果はやはりパシリである。
我侭な友人達やら宿の手配やら、
仕事の都合など、
なんだかんだやりくりして当日を迎えたのである。
つづく。
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ああ、あれから、もう干支が一回り以上経ってんだよなあ。
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