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ついに幕末 The Soul of Japan 武士道 その10 

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前回「武士と侍」の違いに言及しました。

chuff.hatenablog.com

 

徳川の250年を一気にまとめるのも危険なんでしょうけど、

まあ、気にせず行きましょう。

もう誰もがなにかしら興味を持つ、日本史上最大の見せ場、

 

「幕末」

 

一般的なイメージは、

司馬遼太郎にかなり汚染されてますが、

臆さずやっていきます!

 

 

 

司馬遼太郎をいったん忘れよう

司馬遼太郎をディするつもりもないんですけど、

みなさん、彼は「小説家」なんですよ。

信じちゃだめですよ。

しかも、もともとは新聞記者です。

煽られちゃだめですよ。嘘ばっか書いてますからね。

手塚治虫とか小池一雄とか、面白いですけど、

事実とは思わないでしょ?

クライング・フリーマンがいるとか思わないでしょ? 

クライングフリーマン 1

クライングフリーマン 1

 

 自分で書いていて、ある年齢以上しか理解できないのは、重々承知で書いてますよ!

 

さて、ここまでのシリーズを読んでくださった方々は、

どうも「武士道」ってのは、

イメージと違うと思われたんじゃないでしょうか。

まあ、事実をあさってゆくと、いかに思い込みが多いかを、

否応なく思い知らされます。

司馬遼太郎の「司馬史観」とは、

彼なりの神話体系と言えると思います。

 

神話は、神話でよいのです。

でも、もう少し考えてみましょう。

 

神話を事実と認識するのは、社会知性の未熟さで、

定義上では「未開人」と呼ばれます。

やでしょ、そう言われるのは?

ですので、まあ冷静に考えてみましょうよ。

 

幕末の英傑たち

幕末と言えば、新選組坂本龍馬

高杉晋作勝海舟西郷隆盛、等々。

きりがありませんね。

 

主に彼らは二派に分かれます。

それはもともと「武士」の家に生まれたか、

もしくは「侍」に生まれたかですね。

「武士」の筆頭は高杉晋作

高杉は誤解されていますけど、すごくいい家柄です。

彼の思想も「長州藩のため」につきます。

もう少し生まれるのが早いか、もしくは遅いかであれば、

間違いなくただの問題児です。 

高杉晋作 (PHP文庫)

高杉晋作 (PHP文庫)

 

 意外なことに、西郷もこの類に入ると思います。

島津斉彬が死んでなければ、西郷は維新に加わってないと思います。

彼らからすれば、間違いなく忠の相手は「殿様」です。

決して、日本ではないでしょうね。

幕末期の官軍も、それぞれの藩の指揮系統から外れていますので、

性格には民兵、私兵、下手すりゃゲリラです。

殿様が黙認してくれたってだけです。

殿様がそうした理由は、彼らが「武士」であると知っていたのと、

高みの見物を決め込んだってことではないでしょうか。

「武士」であれば正規雇用ですから、そう害はないと思ったはずです。

しかし、このあては外れるのですが。

だって、メイン構成が「武士」以外だったのですからね。

 

「侍」の筆頭は、勝海舟

これには、いろんな意見があるでしょうけれど、

下級の武士ですから、どちらかというと「侍」と言っていいでしょう。

この類には、有名どころがすべて入るんじゃないでしょうか。

新選組もここに入りますね。

当時もそうですが、冷や飯食い以外は、

ちゃんともらうもの貰ってるわけです。

貰うもの貰っていない「侍」が主人公になってゆくのが、

まさに幕末なわけです。

ですので、一発当てたい人たちなわけです。

この人たちは、体制に反発しながらも、

体制に認められたくて仕方がないと言えるでしょう。

承認への欲望がある、ということは、

「承認されていない」ということです。

勝海舟は、徳川の正規雇用ですが、

彼は徳川に「忠」するよりも、実務的に、

実利的に動いたと思われます。

その、複雑な想いは「侍」そのもののもので、

氷川清和という本に詳しく書かれています。

氷川清話 (講談社学術文庫)

氷川清話 (講談社学術文庫)

 

 読みようによっては、DQNの昔自慢とも言えますけどね。

 

錯綜する思惑

幕末の資料をちゃんと読んでいけば、

「討幕」が、近代国家を当初は目指していなかったことは明白です。

ではなんなのかというと、

 

「関が原の仇討」

 

これにつきるでしょうねえ。

討幕派の殿様たちの多くは「次の将軍は俺だな」

と考えていたわけです。

でも、関が原って、ずいぶん遠くない?って思われるでしょう。

今のISごらんなさいよ。理想とするのは1000年前の社会ですからね。

こういう視点は、小説ではあまり出てきません。

大体ですね、長州は御所にカチコミかけたり、

基本的には戦国毛利の雰囲気のままです。

 

関ケ原の因縁の、大整理です。

これは燃えたでしょうねえ。

佐幕も討幕も、久しぶりの合戦の予感です。

怨念は250年分たまってますからね。

しかし、その時代の中で、

武士道は邪魔になってきたのも事実です。

なぜかというと、

 

武士道は「軍隊」と相いれないものだったからです。

 

「軍隊」としての武装集団

意外なことに、これは新選組だと思います。

近代軍隊に近い組織です。

新選組の最大の問題は、システムは軍隊で、

思想は「武士道」だったということでしょうね。

これは「海援隊」なんかも同じでしょう。

発想は「軍隊」です。

 

では、「軍隊」って何だと思います?

軍隊というのは、武人の専業ではなく、

主に募って組織された武装集団のことです。

ですので、家柄とかは関係ありません。

軍隊内の出世はともかく、構成される「兵」は、

軍規でのみ統率され、兵力という意味では平等です。

これが軍隊の、基本的な規律です。

 

しかし、それでは誰も死ぬ可能性を受容しません。

特別感があるから、そこをやむなしとするわけですね。

つまり兵隊になるのが、なにか「いいこと」が必要なわけです。

日本の場合、どうもそこに「武士道」があったようです。

まさしく、一般化というか、大衆化というか。

 

武士は、そのアイデンテティのために死ねます。

それは、優越感が基本にあるからです。

「他とは違う」ために、ということです。

それが、「兵」として平等になってくるとすれば、

やってられないわけです。

つまり、平等思想を受け入れられるわけがないのです。

これが武士にとっての「武士道」でしょうね。

 

庶民もからなる「兵」はどうでしょう。

死ぬのはまっぴらで、死ぬなら死ぬなりの、

理由が必要だったわけです。

郷士、徒士、まあ同じものです。

彼らには「武士道」を与えることで、

死ぬ恐怖を、死ねる優越感に変えていったわけです。

 

基本的に相いれないはずのものが、

一見に多様式を取り始めるわけですね。

この「平等」さと「優越感」を併せ持つものとして、

佐幕派維新派、を問わず「武士道」は活躍してゆくのです。

 

まとめ

官軍のリーダーたちは、はたと気づくわけです。

 

「もしかして、オレが殿様になれるってチャンスだよね!」と。

 

つまり、初代就任が可能な時代だと、気づいたわけです。

こうなると、250年ほどたまってた、

暴力で一発の気風に火が付くわけです。

ですので、明治が始まると、

長州や薩摩の殿様に従う義理もなくなってゆきます。

 

ここが、実は最大の下克上だったわけですね。

 

そこで、新政府は「武士」の武装解体をしつつ、

新たな「武士」を作り始めます。

このあたりも、戦国時代と共通です。

殿様は、軒並み失業なわけです。

まあ、華族としてある程度はお金貰ってますけど、

これも、手切れ金みたいなものですね。

 

つまり、これは近代軍隊の構築です。

殿さま直系の武装組織の「武士」を解体し、

平民の兵隊に給料を払うわけです。

「武士」というのは、正規雇用だといいました。

公費から払うことで、国家直属の正規雇用です。

よってそれは、正規雇用のあたらしき「武士」になれる可能性を、

日本人全般に浸透させていったわけです。

 

ホント巧みですね。

 

ここで、「武士道」は基本に帰ったとも言えます。

chuff.hatenablog.com

 

このあたりのアナーキーさと言うか、それは凄いものがあります。

天皇を屁とも思ってないのは明らかですね。

勿論その一方で、崇め奉るのですが。

 

廃仏毀釈、神社合祀令、キリスト教の再弾圧と許可、等々。

ものすごい適当さで、近代日本の骨格が出来上がっていきます。

 

さあ、そろそろ、始めの疑問。

武士道は The Soul of Japan なのか

と言うところに帰りますよ。

 

chuff.hatenablog.com

(フィクションを「事実」と言うなかれ。楽しんでいいけど、嘘だからね。だからクリック!)

 

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