CHUFF!! チャフで行こうよ。

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「さようなら」の意味

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 アン・モロウ・リンドバーグという女性をご存知でしょうか?

大西洋単独無着陸横断をした、チャールズ・リンドバーグの奥さんであります。

 

のちに、「海からのおくりもの」という本で、一躍名を知られるようになったのです。

 

 

海からの贈りもの

海からの贈りもの

 

 この本の前に、夫リンドバーグと、アメリカ西海岸から北上して、

アリューシャン列島沿いに、日本にもやってきています。

最終目的は、上海までの航空航路の調査であったのですが。

1931年のことです。

 

その旅の記録が、「翼よ、北に」という本にまとめられています。

 

翼よ、北に

翼よ、北に

 

 夫の名声のかげで、「リンドバーグの妻」でしかない自分の姿。

なんとか独立した個人として、認められたいアン。

その苦しいまでの心情と、緻密な観察と分析。

それは、旅先の人々や言語にも向けられています。

燃料切れで、国後島の漁師助けられます。

そのとき、なんとかして「アリガトウ」を伝えようとしたり、

上海からアメリカへ帰る船の中で、

日本人が「サヨナラ」と言っているのを聴いて、

興味深い考察をしています。

 

「さようなら」の研究は比較的たくさんあるのですが、

彼女は、「左様」と「なら」の結合体のような感覚をもちます。

 

この別れが、いたしかたないもの、

つまり「左様」なことであるならば、

「サヨナラ」は、それに対して、必要十分な意味であると述べています。

それは、けっしてFarewellやGood by とは同意ではない、と考えたのです。

 

これらの英語の意味には、祈りに通じる様々な複雑さがあります。

前者は父性的で、後者は母性的だともいえます。

Farewellは「しっかりやるんだぞ!たたかえ!」と、

Good byは「あなたは一人じゃないの。いいことあるわ」

と言い換えられるかもしれません。

 

それに対し、サヨナラは、アンの考えでは

「事実をありのままに受け入れ言い過ぎでもなく、言い足りなくもない」

ということばとして印象に残ったようです。

 

彼女は4文字の「サヨナラ」としかヒアリングできなかったようなので、

何かの本を読んで適当なことを言ったのではなさそうです。

 

サ・ヨ・ナ・ラの4音に、人生のすべてを理解している感覚が、

「すべての感情が、そのうちに埋め火のようにこもっている」

と表しています。

「こころをこめて手を握る暖かさ」であるとも。

 

彼女は、アメリカのとんでもない上流階級の出です。

しかし、リンドバーグの陰で、「妻」としてしか認められない鬱憤を、

新しい文化の理解へのエネルギーとしたようです。

 

彼女に、正確には「さようなら」と五音であると教えたら、

どんな解釈をしてくれたのでしょう。

 

国後での漁師との別れの描写を見る限り、

多分それも、美しいものを見たと思うのです。

私たちは日本語に慣れてしまっているので、

案外気づかないことなのかもしれませんけれど、

それでも、「さようなら」と気軽には言えません。

 

そこにあった意味を、私たちはどこかでまだ覚えているのかもしれません。

そうでありたいですね。

 

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輝く時、失意の時―1929~1932 アン・モロウ・リンドバーグの日記と手紙

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