CHUFF!! チャフで行こうよ。

もう、何でもありです。ヒマつぶしにどうぞ。

CHUFF!!ってのは、「おっ、なんかいいよね!」って意味です。チャフっていきましょうよ!

オークラのメインバーで考える

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昨日の夜、ホテルオークラ神戸のバーにいました。

この前来たのはいつだったろうか

と考えていたら、この時でした。

chuff.hatenablog.com

 

久しぶりにやってきたら、

随分変わっておりました。

 

 

まずね、トップラウンジがなくなっていたんですね。

ここのトップラウンジは、いい店でしたよ。

 

神戸の夜景を見ながら

ゆっくりと飲むことができる

ミッドセンチュリーの調度品。

背伸びしてゆく感じだったんですね。

この映画のナイトクラブ

みたいな感じでしたね。

 

 

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きけば、もうなくなって

10年は経つとのこと。

 

「時代でございましょうねえ」

 

いろいろややこしい法律やら

行政指導やらで、バーでも禁煙。

ロビーは小さなガキが走り回り

ダウンにクロックスの若者が

スマホに夢中でした。

 

まあ、客なんでしょうけど

私が思ったのは

 

お前ら、どっか行ってしまえ!

 

実際は、私がどっか行く方が早いので

早々にバーに退散。

 

庭の見えるメインバーにて

とある人の思い出話をしておりました。

今は亡き人です。

私は正装をしておりました。

そういう相手と、バーにいたのです。

 

 

私は、具合があまりよくなく

グレンフィディックをロックで一杯だけ。

 

 

それでも軽く回ってきた酔いに

まかせて、いろいろ考えておりました。

日本人は、いつから晴れ着を

着なくなったのでしょうか。

 

ここに来るまでもそうでしたね。

振袖の女性に会うことも珍しくなりました。

みな、ダウンを着て、どこでもそのままです。

まるで、こたつの延長です。

 

セールに群がっているところから考えるに

お金がないとは言えない気もします。

お金が無けりゃ、デパートのセールに

人が来ることもないわけですから。

 

老若男女、すべてが神様に頼み事。

それも、まるでこたつの延長です。

随分神様も舐められたものです。

 

そんなことを考えていると

隣のボックス席に、かなりご高齢の女性。

お一人で、お着物を召された方です。

ウェイターに

 

「私はギムレットを」

 

 

その美しさに、しばらく見とれておりました。

綺麗な白髪に、柔らかものの着物。

太鼓帯は袋帯でちゃんと締め、

背筋を伸ばして、

1人で庭を眺めておいででした。

 

私の連れも、そのご夫人に気付いたらしく

その風情に感嘆しておりました。

 

ギムレットを運んできたウェイターと

ご婦人が少し会話をされていました。

 

「亡くなった夫が、こちらのギムレットが好きだったんです」

「そうでございますか。ご主人へのご献杯なのですね」

「そうね、私も好きですよ。でも一杯が限界ね。強いから」

「ごゆっくりなさってください。当店はそういう場所でございますから」

 

その会話を聞きながら、

私たちは穏やかな気分に満たされました。

ただの風景に過ぎないのですが、

私もその今は亡き男性に想いを馳せました。

 

しばらくすると混んできました。

私たちは店を出ることにしました。

女性は窓の外を見ながら、

ゆっくりギムレットを飲んでおられました。

 

ウェイターを呼んで会計をするとき

 

「もし、ご迷惑でなければ、あのご婦人の分も一緒にお願いしたいのですが」

「少々お待ちください」

 

ウェイターがご婦人に話されると、

彼女の思いに沈んだ表情が明るくなりました。

すっと立ち上がり、深くお辞儀されました。

 

私たちも同じようにお辞儀をし

その場を離れました。

 

コートを着て表に出ると

気温がかなり下がっておりました。

夜が深くなり、静かになった街中は、

時にそれなりに

美しく輝いておりました。

 

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