なに、この世の中に
大して怖いものはないものですよ。
お天道さまが怒ったって、
地震が来たって、
しばらくすると忘れちまうもんです。
そうでしょ、おたくさんも。
それがね、怖い怖いって、
子供じゃねえんだからさ。
一番怖えのは、その人間ってやつですよ。
ってことで、青さんの怪談話です。
ではさっそく！
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怪談。
得意な方もずいぶん増えましたが、
大きな流れは2つです。
一つは、講談や落語で語られる、本寸法。
いわゆる古典的な型があるやつです。
これは王道ですね。
もう一つは、
稲川淳二によって築かれた「怖い話」であります。
稲川淳二は、
落語で言えば圓朝なんです。
いわゆる「古典」に対して、
そのルールを守った上で
新しい世界を切り開いた
私はね、冗談でも
彼に敬意を払わない怖い話語りは
認めません。
中山市朗はまぁ、ね。
例外でいいです。
関係性が面倒くさいから。
私は、稲川淳二が語る話が好きなんです。
誰が作ったかとかは別にどうでもいいです。
あの、髭の工業デザイナーは、抜群に語りがうまい。
私はギリギリ知っていますが、
もとはリアクション芸人です。
氏の一番怖い話は、
人形のアレではありません。
自身の子育てに関してのやつです。
私にとって、聞いて後悔した
数少ない講演です。
泣けるというか胃が痛くなるというか…
閑話休題。
便利な言葉ですねぇ、これは。
盛大に脱線しても、四文字で戻れます。
貞水師は、スキンヘッドです。
師の「四谷怪談」がツベに
あがっております。
私ね、延々三時間
聞いたんですよ。
そりゃね、歌舞伎でかける時は
於岩稲荷に行きたくなりますよ。
近頃の、どんな
怪談よりえげつない。
お岩さんは関係者を
皆殺しですからね。
講談師で初めての
語るわけですから、凄みが凄い。
序盤のお岩さんの哀れさ、
伊右衛門の心の移ろいを
十分に味わった上で、
後半のお岩無双が
爽快感無しでただただ怖い。
白旗降伏した相手を
皆殺しですからね、
お岩さんも大概です。
伝統芸能と侮るなかれ。
新しければいいというものではない。
古ければいいというものでもない。
今、私の目の前に生きて
喋っている人間の力によるのです。
いまなら、東の柳家喬太郎。
西の桂春蝶じゃないかな、と。
死んだ落語家だけを
追いかけているような私ですが、
生きている落語家も好きなんですよ。
小三治は潮時、
三三は評価ほどではない、
なんて生意気をいいつつ、このへんで。了
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犬猫の祟りならまだ分かる。
あいつら言葉話せねえですからね。
しかし、人間に言葉が通じないときは、
ありゃ怖い。
人間の風体をした、何かってことです。
こんなこと書くとね、
またいろいろ言ってくる人もいるでしょうねえ。
通じないんだな、これが。
そう考えるとね、
昔飼ってた犬のほうが、通じた気がするもんです。
怖え、怖え。
人間が、一番怖えもんですよ。
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