川崎重工業が、アホのようなマシンを
昔々作ったのです。
世界一を目指して、
「デカけりゃいいだろ！」
とね。
確かにいいマシンです。
前回からの続きです。
では、
後編、苦悩の世界へ。
水温計がどうもおかしい。
普段なら、冷却能力の方が勝っているのに、
今日はそこそこ高い。
冷却水を確認すると、さっき補充したのに、
もうなくなってる。。
しかも、水漏れはおきていない。。
クーラント臭も全くしない。。
家までは約100㌔。
人間の脳は不思議なものですね。
こういう時、パニックにならない。
いや、正確にはパニックなんでしょうけど、
現実を無視して、希望的世界を信じ込みます。
今日は、暑いからだろうな！
とかね。革ジャン着ているのに。
もっと巧みに、言い訳も始まります。
ラジエーターキャップの気密性が落ちてんだろうな！
そんなわけないんですけどね。
もう、そうしか考えない。
だってね、現実を直視するには、
耐えられない状況だったはずです。
もしですよ、冷却水がエンジン内部に
流れ込んでいるとしたら？
こんな山の中で。
ちなみに、冷却水が何らかの問題で、
エンジン内部に入り込むと、
オイルが「乳化」します。
つまり、ヘドロみたいになるんですね。
確認するのは簡単です。
それをチェックするオイル窓があるんです。
見ればいいんです。
でも見たら、なんかいいことあります？
ないない！
ここで、私ができることは、
エンジンをできるだけ冷やしながら、
なんとか家まで帰ることです。
冷やすにはどうすべきでしょう？
風を当てるしかないわけです。
なにしろ、水冷のエンジンが、
今や空冷の可能性があるわけです。
ゆっくり帰るチキンレーズか、
高速で風を当てるチキンレースか。
いずれにしても、チキンレース！
前者の場合、エンジンの発熱そのもので、
オーバーヒートの可能性。
後者の場合、エンジン内の摩擦熱で、
いろいろオーバーヒートの可能性。
基本的に、ちょっと
壊れている私が選んだのは、
もちろん後者。
普段使っているオイルの、
基本性能を当て込んだ、
ってのもありますね。
オイルラインが流れてないなら、
潤滑は、機械の表面に
吸着されている油分のみ。
これ、いかに危険か、
考えると落ち着かないので、
私が考えた結論は、
考えない！
まあ、帰ってきましたよ。
すっ飛ばしてね！
さっそく、安心してオイル窓を確認です。
真っ白！
ああ！
オイルの挿入口から確認。
ああ！
真っ白！
まるで、生クリームみたいな。
ああ！
真っ白。
頭の中も真っ白！
ラジエーターを開けます。
空っぽ！
ああ！
まさに空冷エンジン！
こういう時はね、
何かを絶賛するのが良いですよ！
肯定的感情は、悲観的現実を、
希釈してくれます。
いいオイル入れていてよかった！
グリスみたいな状態で、見事に走ってくれた！
カワサキはなんて丈夫なエンジンを、
つくってくれてたんだ！素晴らしい！
肯定的気分をいくら補充しても、
現実は変わりませんけどね。
冷却水が、すべてエンジン内部に入って、
デロデロのニベアのようなものに、
なってたということです。
よく、焼き付かなかったもんだな。
さて、これに対処するには、
またいろいろやらねばなりますまい。
バカじゃできぬ、
利口じゃできぬ、
中途半端じゃ尚できぬ。
ふーむ。。。
まずは、ヤマモトさんに電話しよう。。
ヘッドガスケットかなあ。。
また部品探しで、ドイツのオジサンに
連絡するんだろうなあ。。
そんな連休でしたね！
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