夏のオートバイ

夏のオートバイはステキだよ。

なんたって、

晴れの日は、

ずっと日なたにいる訳だし、

雨の日は、

ずっとぬれてることになる。

走ってる間は、

いつだって屋根がない。

屋根なんか要らないから、

空から来るもの全部独り占め。

だけど、全然へっちゃらさ。

焚火をして

身体を温めたりできるしね。

遠くの空で雷が鳴って、

こっちの空はかんかん照りで。

平気だよ。

雨と出逢えば、

濡れればいいだけなんだからさ。

雨に疲れたら、

どっかの公園で一休み。

だって、夏だもの。

そう、夏だぜ、夏。

いくつになっても、夏は夏。

ステキなものだよ。

遠くで激しい夕立があるのを眺めたり、

自分が、その夕立の中にいたり。

まあ、どっちでも

きっとごきげんだよ。

だって、夏のオートバイなんだよ。

ずっとごきげんさ。

運が悪いと死ぬけどね。

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昔々、ある夏の日に