ボクは、自分の小さな犬を連れて、車庫まで歩いていたんだ。
まだ、あの犬が生きていた頃だから、ずいぶん前の事になるな。
仕事のときも一緒だった。病気でね、ずっと介護が必要だったんだ。
ときどき思い出すんだ。いろんなこと。
その時ボクは、犬の病気以外にも、
とてもたくさんのトラブルを抱えていたんだ。
気分はいつも重く、きっと歩き方もトボトボだったと思う。
前から大きな荷物を担いだ、
明らかに知恵遅れの青年が歩いてきた。
彼が、突然「こわいこわい」と大声で叫びながら後ずさりした。
周りを見たけれど、ボクと犬しかいない。
そこでボクは彼に訊いてみた。
「にいちゃん、どうした?」
返事はまた「こわい、こわい」
ボクは仕方なく反対車線に渡って先を急いだんだよ。
するとさっきの青年が
「おいちゃん、おいちゃん」と大声で呼んでいる。
まだ何かボクに用かと、彼の方を見た。
多分舌うちかなんかしながら。
彼はボクに両手を振り、大声で
「あ・り・が・と・う」って。
ボクは、なんだかあっけにとられてしましまった。
ストレート過ぎてね。
そして
「おう、またね!」って言った。
ボクが、最後にこんなストレートな会話したのはいつだったろう?
車に乗り込み、サム・クックをかけながら運転した。
悪くない。うん、悪くない。
しまった!
大事なこと訊くの忘れていた。
彼が怖かったのは犬だったのかってこと。
もしかしたら、暗い顔をしたボクだったのかもしれない。
犬がボクの顔を見上げていたからさ、
一人で大笑いしながら、山手幹線を走ったわけだ。
あじさいが道沿いに咲いていたなあ。
ちょうど、今頃だったんだろうなあ。
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