マウンテンコースで想いにふけった焚き火の男。
あっという間のマン島滞在を振り返ってゆきます。
読んでいただいている方は、あまりの長編に、
感覚がおかしくなっているやもしれませんが、
実際は、日本を出てから10日経っていません!
連載開始がこれですから。
4ヶ月経ってますからねえ。。
ではさっそく。
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霧のため、かなり視界は悪い。
霧というよりも、雲が移動してきて、
山頂をすっぽり覆ってしまった感じだ。
さっきまで飛ばしていたライダー達も、
スローペースになっている。
あまりにも視界が悪すぎるのだ。
道は下りになった。
この坂を下りきると、マウンテンコースは終了である。
この日、オレはマウンテンコースを走ったので、
ほぼコースの全容を見たことになる。
それを、オレがこれまでマン島で見たものに、
照らし合わせてみると・・・
やっぱりおかしい。
心のどこかで、実はほんの少しだけ疑っていた。
実際は、大したことないんじゃないかって。
今まで、ナマで見た多くのものは、
実際はがっかりしたことの方が多かった。
このマン島もそうじゃないか、と疑っていた。
実は、道は完全に整備され、万全のサポートで、
あぁ、これだったらあんなタイムが出るのも分かるわ!
って事になるんじゃないかと。
映像では、絵になるアングルだけを切り取って、
カッコよく繋げただけなんじゃないかと。
なんだかんだ言って、結構安全なとこじゃないかって。
それ、間違いでした!
正真正銘、気の狂った世界でしたよ。ここは。
安全のことなんか、これっぽっちも考えてないし、
道に関しては、オレが普段走っている峠の方がいいくらい。
ライダーにしても、安全マージンを取ると、
それは誰かに負けるってことだ。
それがヒシヒシと伝わってくる。
「死ぬまでに一度は生で見ておきたいよね」
まさにそうだ。
生で見ないと、あの空気は分からない。
映像で見るだけでも、
このレースの極めて異常な特殊性はわかる。
だが生で見るという事は、
その狂気の片鱗に、
直接触れるという事だ。
モニター越しに見るのとは、
ケタ違いのインパクトがある。
感動的ですらある。
この島にきて約一週間。
時間というものが、
あまりにも早く過ぎていった。
退屈とは無縁の日々。
睡眠時間は、普段の生活の半分以下だ。
とてつもなく刺激的で、
何をするにもとにかく必死。
そんなマン島生活も、
いよいよ終わりを告げる。
やるべき事はあと一つだけ。
オレが成し遂げなければならない、
オレがどうしても譲れない、
オレだけの孤独なレース。
そう、晩飯だ!
オレ達を乗せた車はダグラス市内へ入った。
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まだ諦めてなかったようですね。
うまい飯を、まだ食う気ですね。
まあ、あのニシン以外は、
完全にやられっぱなしですからねえ。。
どうしても、最後に美味しいものを食べたいんでしょう。
奴に言っておいたんですけどね。
「イギリスの美味しい郷土料理を食べたければ、イタリヤ料理か中華料理だぜ!」
と。
私にこれを教えたのは、なにせイギリス人なのですからね。
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