CHUFF!! チャフで行こうよ。

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マン島での道 その31 平均時速210キロの世界

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衝撃波を受けた焚火の男

その興奮も冷めぬうちに、最高峰クラスの予選が始まろうとしています。

 

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もう、つべこべ言わず、

いってみましょう!

 

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この後はいよいよ、

TTレース最高峰であるシニアクラスの予選となる。

オレはストレートの終りの方まで歩いて移動した。

 

そこはコース脇が土手になっていて、

観客はその土手の上に座って観戦している。

オレはその空いてるスペースに陣取った。

 

それにしても・・・

さっきの所は柵はなかったが、

ロープは張られていた。

 

でもここは、ロープすら張られていない。

 

まぁさっきの所とは違い、ちょっと広めの歩道がある。

そのぶんコースとの距離がいくらか余分に保たれているわけだが・・・

 

それでもバラフブリッジでのような事もある。

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しかもオレのすぐ横に、

ここ危ねぇよ!的な看板が。

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これはこれで 

結構、怖い。

 

万が一の時には、土手を飛びおりなければならないかも。

そんな事を考えてたら、遠目にコース上を

雉が横断しているのが見えた。

 

本当に大丈夫なのか!?

 

目の前はストレートエンドの超高速コーナーだし、

なんか色々、不安要素が多すぎて落ち着かない。

しかしそんなオレの心配事など知った事かと、レースはスタートする。

 

そしてマシンがやって来る。

 

ヘリの音に混じって、

完全に吹け切ったバイクの排気音が聞こえてきた。

 

ギィーーーーーーーーーーーーーンンンンンン

 

視界に捉えた時には豆粒ほどにしか見えなかったマシンの姿は、

あっという間に大きくなり目の前に迫ってくる。

 

そして凄まじい勢いで駆け抜けていく。

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シュウゴウゥーーーーーーーーーーーーーーン

 

衝撃波

 

ドンッ!

 

やはり最高峰クラスだけあって、

その速さは他のクラスと比較してもあからさまに違う。

 

しかもオレのいる位置を過ぎると、右方向へ直角に曲がるコーナーが待っている。

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奴らはそれをギリギリまで我慢してフルブレーキング。

 タイヤから白煙を上げている奴もいる。

 

常にギリギリ。

そして常に全開

 

速度の違いは、ギアが何速に入っているかだけだ。

基本的に全開だな!

 

生活道路、つまりそのへんの道で、

一周60キロもあるコースを 

飛んだり跳ねたりしながら、

 

平均で210km/h

 

という速度を維持する。

そのために彼らは

自らの命を当然のように削るのだ。

 

そりゃ死ぬわな。

 

実際、今年もここまでで、すでに3人のライダーが亡くなっていると聞く。

この日も予選が終盤を迎えた頃、レッドフラッグが振られた。

 

どこかで大きな事故があったようだ。

 

マン島TTにおいてはこれが普通。

何事も起きない事の方が異常。

この火傷するほどにヒリつく感じこそが、

長年にわたって世界中のバイク乗りを魅了する理由なのかもしれない。

 

レースは結構、長い時間中断されていたが、

再開される事無くそのまま終了となった。

 

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平均速度210キロというのはどのくらいだかは、

想像が難しいでしょう。

 

秒速に直してみましょう。

210×1000÷3600=約58

 

1秒で58メートル動く世界で、60キロ走り続けるわけです。

クネクネの道を。

 

この観戦ポイントでは、だいたい300オーバーでしょうから、

300×1000÷3600=83ですので、

秒速100メートル弱ですね。

 

平均速度というのは、通常その平均速度から落としていない気分で出さねば

平均割りと言いまして、あっという間に落ちてしまうものなのです。

 

最高速の領域になっていると、わずかに姿勢を上げたり、

軽く迷いが生じてアクセルを弱めただけで、がっくーんと落ちるのです。

それくらい、空気抵抗の大きな世界なんですよ。

 

レーシングマシンは、重量が軽いのであっという間に減速します。

ということは、基本的に全開で開けていかないと、失速しちゃうんですね。

 

危ないとか、死ぬかもとか、安全とか、

 

もう、うるさい!って世界ですね。

 

その世界を実際に体験するのは、ごく一部のライダーなわけですけどね。

 

(さあ、スピードの向こう側に突っ込もうじゃないか!さあ、クリック!)