古い車を買いました。
とても毎日楽しんで、風景がキラキラしています。
でもそんな日は長くは続かないのです。
ある日。プスンと止まるエンジン。
奇跡的に普通に乗れていたとして、
オイル交換どうします?
オートバックスでいけると、思ってません?
まさか。。
すべてを疑え!
デカルトは正しい!
何十年も前に作られた車。
まさか、近所の自動車屋とか、
まさかのディーラーとかで、どうにかなると思ってません?
多少機械をいじれるからと、自分でできると思ってません?
そんなことはないのです。
買ったその日から、流浪の身になると思ってください。
あなたの車生活は、荒海から始まるのです。
近所に名メカニックがいれば、
それはひたすら幸運なことなので、礼節で接しながら、
多分既に混んでいるはずの常連のお客さんの列に、割り込む努力をしましょう。
近所にそういう人がいない場合、
ネットで探すのもいいですけど、聞き込みが重要になります。
ガソリンスタンドだとか、街で似たような人種に声をかけるとか、
生の情報を拾うべきです。
私の知る限り、この世界の本当の情報は、ネットに出てきません。
それは、マニアたちによって、かなり独占されています。
理由は簡単です。
腕のいいメカニックは年を取り、
仕事は増える一方で、客が増えるのを嫌っています。
お客も、そのメカさんが忙しくなるのを嫌います。
よって、わざわざネットには載せないわけです。
私も、お世話になっているファクトリーのことは書かないし、
そのファクトリーはサイトを持っていません。
それでも、口づてにうわさは広がるようです。
とんでもない大口の仕事が入ってくるのを、直接見ました。
戦前のブガッティーが一気に数台とか、、
コレクターが一気に五台をフルオーバーホールしたり。。
その間に割り込むのだから、市井の人間には厳しい競争です。
客側が辛抱強く自分を売り込まなきゃいけません。
「私は、ごねたりしませんし、ちゃんと技術を認めています」と。
しかも、さりげなく。
私は、まずオイル交換を何度もしてもらい、
その間に少しづつ世間話をしながら、
機械系の相談をしたのは、一年が過ぎたころでした。
この間は辛抱です。
いろいろ指摘してくれるようになったら、素直に従いましょう。
金額は聞いてはいけません。
いい値で払うのです。
客としての、
あなたの代わりは何人もいるのです!
忘れてはいけません!
向こうがまともなら、妥当な値段を示してくれます。
さて、ここでやっと入り口ですね。
その間、メカに見せるために、車を常にきれいにしておく。
誰だってそうです。汚い車など触りたくないのです。
歯医者に行く前は、歯磨きするものです。
車の美しさは、オーナーの愛情の明確な指標です。
ここでお気づきになられました?
いい技術を与えてほしいなら、客側が、
車を愛し続ける姿勢を売り込む必要があるのです。
メカへの「敬意」は、そのオーナーが自分の車への愛情を示すこと、なんです。
もしくは、うなるほどの札束か。。。
銭金の話ではありません。
相手は本気を見たいのです。
どうでもいい人間の相手をしたくないのですよ。。
そういう人と付き合うことに、
静かな喜びを感じながら、メカの技術にうっとりと酔いしれ、
出来上がった愛車の変化に驚くこと。
これらがそろって、初めて楽しむことができます。
動くからといって、青天の駐車場に止めっぱなしだったり、
プラグが煤で汚れていてはいけません。
オーナーは、車を所有しているのではありません。
今この時、オーナーの手元にあるってだけです。
これまでのオーナーが残してくれた遺産に、敬意をもつべきです。
そうすると、毎日エンジンはかかります。
運が良ければね。
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