これは、スティーブ・マックイーンの最高傑作だと思う。
「パピヨン」とジャッジが難しいところだけれど。
ラストシーンのダスティン・ホフマンとの抱擁のシーンは、
胸に迫るものがある。
しかし、私としては、ブリットだな。
この中で、タートルにジャケットをあわせている着こなしがある。
今となっては当たり前のコーデだが、
実はこの映画での描写が、世界初ではないかと言われている。
実際にはもう少し前の資料で、ヨーロッパでも行われていたようだが、
世界的に広めたのは、間違いなくスティーブ・マックイーンだろうね。
ストーリーは、なんということはない。
そんなものより、相手役のジャクリーン・ビセットの美しさ。
それを雑にしか扱えない孤独な刑事。
どこまでいっても、孤独でしか無い世界。
スティーブ・マックイーン自身が、少年院あがりであり、
これといって売りのない男である。
決して男前ではない。
グレた猿みたいな顔だ。
その彼は、実際のストリートでの経験と、考えることにより、
本当のタフさを画面に溢れ出させている。
名シーンと言われるカーチェイスも、どうということはない。
しかし、ここに描かれている世界。
その中でのワンシーンごとに、しびれる何かがある。
常に世の中は、いつの時代でも冷たく、
生きてゆくには、それ相応の代償を求められる。
それを、冷たく、暗く、遠慮なしにカッコよく描いている。
凡庸な表現だけれど、そこには男の匂いが満ちている。
「イケてるかっこしたいんすよ」
「イケメンでないと」
「どうせおれなんか」
もうね、みんな、この映画観て、出直しなさい。
バラクーダのニットローブを、部屋着にしてから言いなさい。
ステンカラーのコートを、こう着てからモノを言いなさい。
サンドイッチとミルクの朝食を、徹夜明けでかっこ良く食べなさい!
女性の方には、どうでしょうねえ。
退屈かもしれませんよ。
まあ、世の男ってのは、殆どが退屈な生き物ですからね。
でも、魅入られてしまったとしたら。
コートの襟の立て方一つにも、男は気を使うべきだと、
周囲の男性を冷たい目で観て、叱ってあげて下さい。
(グッと来てしまったら、もう引き返せません。そこでクリック!)

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