CHUFF!! チャフで行こうよ。

もう、何でもありです。ヒマつぶしにどうぞ。

CHUFF!!ってのは、「おっ、なんかいいよね!」って意味です。チャフっていきましょうよ!

むしばむもの。

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最近、私はよく

「今日もどこかでデビルマン」を

口ずさんでいます。

 

何ででしょうか。

残るんですね、あれ。

 

あれ、いい歌ですよね。

調べてみて分かったんですが、

この歌は、作詞 阿久悠

作曲 都倉俊一なんですね。 

アニメの歌に、

当時の第一線の作家がからんでたんですね。

 

 


その夜も私は

「人の世に愛がある~♩、人の世に夢がある~♩」

と口ずさみながら歩いていました。

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21時をまわっていたので、

風は冷たくなっていましたね。

そのせいで、少し寒いような感覚さえ、

私にはありました。


私の数メートル先を

若いカップルが歩いていました。

二人は寄り添いながら、

時折穏やかな笑い声を風に乗せつつ、

少しだけ坂になっている道を、

歩いていました。

 

良い風景です。

青年は20代後半、

清潔そうな、

ボタンダウンシャツにジーンズ。

女性は男性より少し若く、

淡い色のカーディガンに、

少し長めのスカート。

二人を見守るような空には、蒼い月。

風は優しく乾いていました。

 

完璧です。 


そこで私は歌うのを遠慮し、

胸の内だけで、

ハミングする事にしました。

私とて、この完璧な春の夜の

坂道の風景を、

あえて壊すほど野暮ではありません。

変な人とも思われたくないし。。

 

ところがです。

ほんの一瞬の優しさや、

幸福と言う名の刹那を、

私が感じる事も、

この世界は許さなかったのでした。

私は聞いてしまったのです。

二人の会話を。 

 

 

 


男「今俺さ、ただのサラリーマンだろ?でもね、自分に正直に生きたいんだ」 

女「今の会社を辞めるの?」 

男「考えてる。この前さ、今の給料計算したら、年収で800万位だったんだ。これが俺の人生の代償かと思うと、なんだか悲しくなっちゃってね」 

女「そうだね、そういう考え方素敵だよ」 

 


確認しておきますが、

二人とも20代ぽいです。

会話は続きます。 

 

 

男「そこでさ、考えたんだ。カフェとか俺に向いてるんじゃないかなって」 

女「分かる~。イームズの椅子とか置いてでしょう?」 

男「そうそう、デュラレックスのグラスでさ」 

女「ウッディーな感じと、ちょっと荒い印象の壁がミックスされてて」 

男「分かるの?」 

女「分かるよ~、そりゃあ。私、こう見えても結構スピリチュアル系だもん」 

男「そうかぁ、だからセンスいいのかぁ」 

女「情報発信するよ!」

男「ネットワークが広がるね!」

 


再確認ですが、

状況から判断すると、

二人とも真っ当そうな感じ。

きっと学歴も、育ちも、

性格も、ついでに収入も、

実によさそうです。 

  

マルキュー(MARUKYU) ヨセアミ

マルキュー(MARUKYU) ヨセアミ

 

 


男「やっぱり、俺の人生なんだから、俺らしく生きないとだめだよな。やっぱり輝かないとね」 

女「うん、そうだよ。お金より、輝いている方が似合っているよ!」 

男「自分らしく生きよう。カフェだよな、やっぱ」 

女「うん、応援するよ!NPOにしてもいいじゃん!」

男「うん、そうだね!」 



私は再び歌いだしました。

先述の歌の2番です。

 

「もうこれで帰れない~♩ さすらいの旅路だけ~♩」 

 

二人は振り返り、

見下すような冷たい視線で

私を見ました。

まあ、そうでしょうねえ。 

 

 

風は止まり、

空気は急に淀み始めていました。

彼らは、私が歩く坂道の

わずか数メートル上にいました。

私はそ知らぬ顔をしながら、

煙草に火をつけて、

ゆっくり吸い始めました。

彼らは再び無言で歩き始め、

次の角を曲がりました。

私は坂道の途中に立ち止まり、

煙草を吸い続けたました。

 

そう言えば、デビルマン不動明

恋人美樹は、死んじゃうんだよなあ。

確か、人間に殺されるんだよなあ。

デビルマンも死んじゃうんだよなあ。

坂道は上るのは大変だよなあ。

でも坂が急すぎると、

下るだけでも危ないよね。 

 

 
少し身体が冷えてきました。

風が止まった空気の中、

煙草の煙がまっすぐ上がり、

月に傘がかかったように見えました。 


明日もどこかでデビルマン~♩、

明日もどこかでデビルマ~ン~♩ 


葉桜も、いいものですよねえ。

 

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