ひらり、と飛び越えろ! 天安門事件を見よ!
ある年の暮れ、
私はロンドンのヒースロー空港にいました。
その中の珈琲ショップで、
私は一人の女性に別れを告げていたのです。
目の前にはチャドルを被った老女が、
孫とおぼしき少年と抱き合いながら、
別れを哀しんでいました。
向かいの席のターバンを巻いた男は、
黙って男の子の手を握り泣いていました。
私は泣く女性に
「あちこちに同じように泣いている人がいるよ」
と言ったきり、黙りました。
そして、中国の地方空港を、
何故かしら思いだしていました。
場所は、湖南省の長沙。
ラサに行く予定だったのだけど、
当時はラサ暴動から数年で、
一般外国人は入れなかったんです。
時々、偶然開かれる隙間のチャンスがあり、
それを期待したのだけど、無理だったのです。
その空港では、
天安門事件のことを思いだしていたのを覚えています。
(この動画は消されないように、前半2分を飛ばすようになってます。グロではありません。リプレイか、カーソルで再生部分を戻すと、すべて見られます。ぜひ当時の緊迫感を感じてほしいと思います)
目の前には、
まだ10代前半と思われる少年がいました。
纏足の老婆が何度も頭を撫でてやりながら、
「いつでも帰っておいで」
と言いながら泣いていました。
少年は、
不安と興奮が入り交じったような表情で、
顔を赤く染めていました。
あの国の、
何かの試験やスカウトの目に留まり、
都会に出て行くのかもしれない、思いました。
雑技団や、京劇、
スポーツ、学問、様々なものに、
そのシステムがあるのです。
少年は「全てが変わる」、
まさにその瞬間にいたのでしょう。
私が、涼州詞について思いを馳せたラサ。
今もいろいろ起きている地域。
ラサも涼州と同じ西域。
ロンドン・ヒースローで、
長沙で、ラサで、
LAで、世界中で、
人々は「ひらり」と何かを超えてゆきます。
時には、その人生全てを賭けて「ひらり」と。
私の記憶の中で、
いつだって「ひらり」がある時は、
誰かが泣いていたのです。
親に会うては親を殺し
仏に会うては仏を殺す
人に会うては、人はどうする?
自分に会うては、自分をどうする?
偽善は嫌いです。
でも、何かが間違ってる。
それが何なのかが分からない、
そのことが問題なんでしょうねえ。
何を「ひらり」と超えたいのだろう。
ラサ、ロンドン、長沙、そして今。
あの女性は、今は幸せだろうか。
(まだ、30年まえのことなんだな。寒いと辛気臭くなっちまうなあ。そこでクリックですよ!)
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