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マン島からの道番外篇 8マンの帰り道その2

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終わったと見せかけ終わらないこの企画。

chuff.hatenablog.com

まあ実際は終わってんですけども、

じゃあ「終わり」と言えば、

何が「終わり」なのでしょう。

普通の人はそんなこと、

あえて考えませんよね。

 

まあ、そりゃそうです。

なんとなく感覚的にわかっているのです。

そういう事柄を、「恣意的」というのですが、

最近は「意図的」のような

意味で使われてますよね。

あれは間違いです。

 

こういうことを

書き続けるのを意図的といいますね。

 

 

言葉を紡ぎ続けることは、

そんなに難しくはないのですが、

SEOで当たるようなことを書いてゆくと、

どうも自分がつまんないわけです。

 

そこで、まあ自分が書いていて楽しいものを、

並べてゆくうちに、

焚火の男が書いていた、

「旅そのもの」について、

言及したくなりました。

chuff.hatenablog.com

この中で、彼はこう言っています。

 

以前、なぜ旅をするのかというテーマで、誰かと語り合ったことがある。

 その時オレはこう答えた。

「帰ってくるためさ」

もちろんまだ見ぬ景色や、予期せぬ出会いなどに、ドキドキするのも醍醐味だろう。

だがそれと同じくらい、疲れ果ててホームに帰ってきた時の、安堵感がオレは好きだ。 

だから旅に出るのだと。 

帰ってくるためには、出ていく必要があるのだ。 

当たり前だと言うなかれ。これは実に奥の深い境地なのである。

 

まあ、言っていることはわかるんです。

多くの人の理解も得るとは思うんです。

でも、私の感覚はちょっと違うんですね。

 

私の場合、長い旅に出て、

疲れ果てて帰ってくるとき、

安堵感など一度も感じたことがないのです。

そうですねえ、しいていうなら、

奇妙な敗北感と失望感のほうが多いのです。

 

こういうのは個人差だとか、

そういうモノばかりではないのだと思います。

その人の「日常」というものへの、

普段からの価値観というか、

肯定感というか、

もっというなら、アイデンティティのようなもの、

なんじゃないかと思うんです。

 

もちろん、現実的には帰らなきゃいけないし、

予定もあるし、仕事もあるし、

仕方ないことなのです。

でもね、戻るために出かけるって、

発想はないんですね。

私の場合はね。

こういうところ、自分でも多少破滅型だな、

とは思っているんですが。

 

私の知り合いの若い女性がいます。

彼女は、とある事情で

しばらくモンゴルに住んでいたわけです。

何か国語か話せる器用な娘で、

まあ、面白い小娘なんです。

 

彼女に聞いたところによると、

モンゴル人のソウルに響く「死に方」

というのがあるらしいんですね。

 

それは何かというと、

 

草原で行き倒れ

 

体は朽ちて大地に帰り、

塵となって風に飛ばされてゆく。

そういうことに、

ビンビンに憧れるらしいんです。

 

これ聞いたとき、私感動しましてね。

こう、深く突き刺さる感じがあったんです。

 

昔、中国とモンゴル国境にある「二連」

という街に向かった、

列車の旅を思い出しました。

車中で、放牧で暮らしている、

モンゴル族の一家と仲良くなりました。

彼らは家を持たず、「包(パオ)」と呼ばれる、

テントで暮らしているそうです。

 

お土産を持てる限り持って、

これから帰るのだというのです。

北京かどっかに

行ってきたとのことでした。

通じているのか分からない中国語と、

間に合わせの筆談で、

長い旅を一緒に過ごしました。

 

その中で、ミカンを分け合ったりした、

ニコニコした少年がいました。

まだ、10歳かそこらだったと思います。

彼が、

 

「もう近いよ」

 

と言ったのは、砂漠のど真ん中でした。

 

駅の看板だけがある不思議な場所に、

蒸気機関車は止まりました。

 

駅と言っても、見事になにもない、

砂漠のど真ん中に停まるわけです。

時間は夕刻でした。

しばらく止まっていると、

遠くで砂塵が舞い上がりました。

馬が20頭ばかり、全力で走ってきます。

後ろに見えるのは、巨大な空と夕日です。

 

その、馬賊のような集団が、

彼らの迎でした。

少年は何頭かの馬に荷物を括り付けます。

少年のお母さんも馬に乗ります。

父親らしき人に、少年は何事か話し、

馬がすべて私のほうに向き、整列しました。

 

「一路平安!」

 

と、全員が声をあげ、

その後向きを地平線に変えました。

一斉に不思議な奇声を上げて、

全力で駆け出し、砂塵が彼らをつつみ、

すぐに見えなくなりました。

 

沈みゆく太陽がまぶしく、

砂塵が見えなくなるころ、

列車は再び走り始めました。

 

あの空間そのものが、

彼らにとってホームなのでしょう。

私はその場で全くの異邦人で、

その風景に、ただ見とれていました。

 

自分が全くの異邦人であるという、

その感覚は、私に深い安堵と満足と、

ほんの少しの淋しさを感じさせました。

 

やがて、赤く染まった空は星空に変わり、

乾き過ぎた空気の塊は、激しい冷気となって、

ガラガラの車内に満ちました。

 

それはとても心地よい時間で、

私はずっと星空を見ながら、

少年の屈託のない笑顔を思い出していました。

 

私の場合、旅とは帰るためではないのでしょう。

繰り返し、繰り返し、

異邦人になるために出かけるのだと思います。

 

では、なぜ異邦人であることが、

私にはそれほど心地よいことなのでしょう。

 

そんなことを思い出しながら、

焚火の男を送るために、

ジュリアのエンジンに火を入れたのです。

 

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(うわー、ひっぱるねえ!こういうの書くと、このシリーズ終わらないよね!さあ、そこでクリック!)

 

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